
スーパー堤防が洪水による大都市の壊滅的な被害を未然に防ぎ、安全・安心・ 快適な暮らしを支える―。大阪平野を流れる淀川・大和川の2大河川において 進められている高規格堤防(スーパー堤防)整備事業は、防災都市の基盤づく りを力強くサポートするとともに、水辺の空間を活かした快適な住環境を創造 するもので、計画規模を超える洪水や、いつ発生するかわからない地震の時に も「壊れない堤防」としてまちを大きな被害から守る。堤防の市街地側に盛土 をして堤防の幅を高さの約30倍に広げたゆるやかな台地状の堤防上では、住宅 や公園など、緑に恵まれ、眺望にすぐれた快適なまちづくりが進められてい る。
《淀川・大和川流域で事業促進 安全で快適なリバーフロント創出》 自然的・社会的条件から、災害に対して極めて脆弱な国土構造を有している我が国においては、古来より水 害・土砂災害、高潮災害などについての防災対策が積極的に進められてきた。しかし、近年では、梅雨期の集 中豪雨や度重なる台風の上陸により、全国各地で甚大な水害・土砂災害が発生しており、安全・安心で災害に 強い国土づくりが強く求められている。 洪水が発生しやすい要因としては、我が国の河川の全長が、諸外国と比べて短く、急勾配であるため、ひとた び大雨が降ると急に水かさが増し、一気に平野まで流れ出て海までの間に氾濫を起こすという特徴ならびに多 くの人々が生活している平野部が河川よりも低い箇所にあることが挙げられる。 近畿圏においても、淀川や大和川では水位より低い場所に大都市が発達しており、人口および資産が集中して いることから、万が一堤防が決壊した場合には、大きな被害が生じるという懸念が多分にある。日本経済を支 える中枢都市「大阪」を洪水による壊滅的被害から守るスーパー堤防。近畿圏では、大阪を流れる2大河川で あるこの淀川、大和川流域においてまちづくりと一体となった整備が進められ、着実な成果を残している。洪 水にも地震にも強く、やすらぎのある水辺空間を創出するスーパー堤防は、堤防の市街地側に盛土をし、幅を 広げた緩やかな台地状の堤防。幅が約200〜300mもあるので、大洪水が発生して堤防から水があふれるほどに なっても壊れない、安全な堤防として機能する。 また、必要に応じて軟弱地盤を改良して強い地盤をつくるとともに、堤防の勾配についてもゆるくすることか ら、地震時の液状化や、すべりに強い堤防となるので、スーパー堤防上は地震に強いまちとなる。一方、スー パー堤防では、旧堤防斜面の部分が緑地や公園などに利用できることから、水辺と一体となった緑豊かで、眺 望にもすぐれるまちづくりが可能となるばかりでなく、スーパー堤防の整備とあわせて密集した住宅の建て替 えや、道路・緑地などの計画的な整備ができるので、快適なまちづくりを促進できる。計画規模を上回る水害 に対して脆弱な大都市を壊滅的な被害から守るとともに、安全で快適なまちの創出に大きな役割を果たすスー パー堤防。淀川、大和川の沿川では、既に数多くの地域でスーパー堤防の整備が進められ、緑豊かで眺望の良 いまちが次々と誕生している。
【写真はスーパー堤防。国土交通省近畿地方整備局大和川河川事務所提供】