財政再建案を柱に推進 大阪府はこのほど、「大阪維新プログラム(案)」を発表した。大阪が持つ本来の力や資源を再認識し、 「大阪が再び輝くために」を実現する方策をまとめたもで、▽財政再建(財政再建プログラム案)▽政策創 造(重点施策)▽府庁改革ーの3つのミッションにより従来の仕組みを変え、大阪発の‘自治体経営革命’ を起こすとしている。5日に会見した橋下徹知事は、プログラム案はとりあえずの出血をとめるもので「ゴ ールではない」とし、府民、職員に理解を求めた。 財政再建プログラム案は、今年4月に知事直轄の改革プロジェクトチーム(PT)がまとめたプログラム試 案(PT案)をもとに、事業の見直しとともに議会や府内各部局、市町村等と議論、調整を行い策定したも の。橋下知事は、「特に議会の意見を尊重した」としながら、「完全なものではないが、短い期間でよくこ こまでのものをつくり上げた」と作業に携わった関係者の労をねぎらった。 プログラム案では、2008年度から?減債基金からの借入れをしない?借換債の増発をしないを前提に「収入 の範囲内で予算を組む」ことを徹底した。改革の期間は、2008年度から2010年度までの3年間を集中改革期 間と定め、新たな財政構造改革に着手する。改革の効果額は、一般施策費と建設事業費、人件費、歳入の確 保で2008年度は1,100億円、20092年度は880億円+α、2010年度は900億円+αとした。 このうち建設事業費は2008年度と2009年度に75億円(PT案では70億円と90億円)、2010年度は80億円と し、集中期間中は原則2割(一般財源ベース)の縮減を図り、縮減にあたっては、将来の維持補修費用の増 大に留意しながら、新規建設事業は重点化の徹底を図るほか、個別事業については緊急性の観点から、一時 休止やスピードダウンするとした。 主要検討事業では、都市整備部での安威川ダムと槇尾川ダム、泉佐野丘陵地整備事業、住宅まちづくり部で は府営住宅(建替え、管理等)と密集市街地整備促進補助金、箕面森町(箕面北部丘陵整備事業会計繰出 金)が対象となった。 安威川ダムと槇尾川ダムについては、PT案でも示された通り、2009年度と2008年度に予定されていたダム 本体着工をそれぞれ見送り。これによる効果額は、2008年度が6,700万円(一般財源400万円)、2009年度17 億円(同7,700万円)を見込んでいる。 泉佐野丘陵整備事業でも、PT案による財政状況に鑑みて事業を見直し。今年度に予定していた実施設計と 整備工事を見送るとともに、民間協力を含めた整備手法検討のために運営会議を設置することとしている。 効果見込額は今年度で1億5,800万円(一般財源3千万円)、 府営住宅(建替え、管理等)では、建替え整備と計画修繕については2008年度から2010年度は、いずれも地 方負担ベースで20%削減を実施。また、警察施設で今年度に基本設計を予定していた第二枚方署(仮称) は、予定通りに基本設計に着手する。 一方、PT案により見直しを行った▽箕面森町▽彩都▽新名神高速道路(府関連)▽阪神高速大和川線▽安 威川ダム▽槙尾川ダム▽阪南2区▽大阪モノレール(何伸)▽大阪外環状線鉄道の主要プロジェクトのう ち、新名神は供用開始に合わせ必要不可欠の事業を実施。大和川線もコスト縮減に務めながら事業を実施す る。安威川・槇尾川両ダム事業は、進捗状況等を改めて確認し、事業継続は妥当と判断された。