JIA・U−40設計コンペ (社)日本建築家協会近畿支部(吉羽逸郎支部長)が、「六甲山上の展望 台」をテーマに実施していた「第1回JIA KINKI・U−40設計コン ペティション」の第2次審査が15日、六甲ヒルトップギャラリーで開催さ れ、最優秀賞に三分一博志氏(三分一博志建築設計事務所)の提案が選ばれ た。今後、事業者である阪神総合レジャー(株)と協議を行い、来年12月 の竣工を目指すとしている。 2次審査は13時から、第1次審査で入選した5名の応募者によるプレゼンテ ーションと審査委員との質疑応答によるものとし、公開形式で行われた。プ レゼン終了後、審査委員による最終審査が行われ、三分一氏を最優秀賞に決 定した。 審査委員長の江川直樹・関西大学教授は、「展望台とは何かを考えるコンペ だった。山上に物を造るという点において一番議論がなされた」と、コンペ 全体を振り返り、最終審査でも最後まで意見が分かれたとした。
特別審査委員の出江寛JIA会長は、「庶民の建築は前に出ず、自然に溶け込むものが多いが、優れた建築 には自然を活かすものもある。最優秀作品は危険性もはらんでいるが、コンペの趣旨を鑑み象徴的なものを 選んだ」とし、コンペ全体を通しては「非常に盛り上がったものとなった。今後、各支部でも実施していき た」と総評した。最優秀賞となった三分一氏の作品は、「Sustainabie Rokko Proj ect六甲枝垂れ」。展望施設を樹木のように枝葉で覆われたものとし、「樹上・枝葉・幹・根」として構 成。間伐材の利用や主構造をメタルフレームの鉄骨造とし、機械空調を用いずに球面鉄集熱体と煙突効果に よる上昇気流で換気を行うなど、自然を採り入れ、環境に配慮したもの。 三分一氏は、広島市在住で東京理科大学出身の40歳。1999年に現事務所を開設し、海外での受賞歴がある。 受賞にあたっては「六甲山の象徴として地域の人々に可愛がってもらえるものとしたい。今後は実現に向け て真摯に取り組んでいく」と感想を述べた。コンペは、旧回る十国展望台跡地の敷地6,069?に、集客機能を 併設した新しい展望施設の建設にあたり、JIAの40歳以下の会員を対象に設計アイデアを公募したもの で、第1次審査では、全国から応募のあった104人の中から5人を選出していた。 主催は、事業者である阪神総合レジャーと近畿支部で、審査は江川委員長と出江会長に、木村博昭・京都工 芸繊維大学教授、橋爪紳也・大阪府立大学教授、天井規雄・阪神電鉄レジャー事業部長の各審査員が行っ た。 最優秀賞の提案は今後、事業者と詳細協議を行い、来年6月頃までには基本設計と実施設計を終えて工事契 約を締結、7月に着工して12月の竣工を予定している。工事費は約1億4千万円程度を見込んでいる。な お、最優秀賞とともに優秀賞には阿曽芙実さんと森清敏氏が選ばれたほか、同ギャラリーで審査結果と作品 展示が21日まで行われる。