物流交易に伴う経済活動において港湾の占める役割は大きく、大阪港にいて は咲洲や夢洲の各埠頭が稼動している。このうち国際競争力の強化を目指し て各種の整備が進む夢洲では、スーパー中枢港湾の核として、高規格コンテ ナターミナルとその流通経路としての夢咲トンネルの整備が進められてい る。スーパー中枢港湾は、大阪港と神戸港が「阪神港」として連携し、大水 深コンテナターミナルをはじめとする港湾機能の拡充を図るとともに、コス ト低減とリードタイムの短縮など、世界トップクラスのコスト・サービス水 準を実現することで国際競争力を高め、台頭著しいアジア諸港と競合するこ とを目指したもの。
その夢洲の高規格コンテナターミナルは、スーパー中枢港湾の指定を受け2009年度の運用開始に向けて特定 国際コンテナ埠頭として、C−10から12の3バース総延長1,100mの耐震強化岸壁を整備するもの。このうち C−10とC−11は、護岸延長各350mで水深 15m、ヤード面積1万7,500?で、C−11は2002年に、C−10 は2003年に供用を開始。C−12は直轄事業として同17年から工事に着手したもの。護岸はケーソン12函で構 築され、今年度は、既に桟橋ジャケット七基の据付を終え、年度末までにPC版の設置が行われる。この高 規格コンテナターミナルと在来地区とを結ぶ大動脈となるのが夢咲トンネルで、夢洲と咲洲をつなぐ道路鉄 道併用トンネルとして計画され、道路部を「臨港道路」として国土交通省の直轄事業で、2001年から工事が 行われている。 トンネルは、咲洲コスモ7号線から夢洲の幹線道路に至る延長2,138mで、夢洲側と咲洲側の両アプローチ部 の陸上トンネルと海底トンネルで構成。アプローチ部は、咲洲・夢洲側とも延長666mで、地形等の施工条件 に応じて単層と多層のボックス構造とし、延長806mの海底トンネルは沈埋トンネルとして建設された。沈埋 トンネルは、沈埋函8函を接合して構築。沈埋函は、長さ100m、幅35.4m、高さ8.6mを標準規格とし、中 央に鉄道部、その両側に道路部を配したもので、道路は幅員3.25mの往復分離2車線で、道路規格は第4種 1級のもの。 工事では、咲洲側のアプローチ部は既に終了し、沈埋函工事も、昨年9月4日に最終函とな る7号函の据付が完了して貫通を果たしており、現在では夢洲側のアプローチ部で工事が実施されている。 夢洲側アプローチ部は、Y−1工区からY−6工区の全6工区で実施。このうちY−5工区は既に完了し、 残る5つの工区では、Y−1工区からY−4工区ではボックス構造の躯体工事をほぼ打ち上げており、Y− 6工区では夢洲内の道路取付部での工事を実施中。 これらコンテナターミナルとトンネルは、いずれも今年度内の完成を目指しているが、その果たす役割には 大きなものがあり、国際インフラとしてスーパー中枢港湾を目指す上でも欠くことのできないものとなって いる。