橋下徹知事の財政非常事態宣言を受け、緊縮予算としての事業執行を迫られている大 阪府。建設事業も例外ではなく「財政再建プログラム」の下、極めて厳しい状況下で 各種の事業展開が求められている。しかし、社会資本整備はいかなる状況にあっても 後退は許されない。これら状況の中、道路をはじめ、河川やダムなどの都市基盤整備 を担う都市整備部では、福田保部長の下、職員が一丸となり事業推進に努めている。 「厳しい環境だが、必要な事業は整備する」と語る福田部長に、財政再建下における インフラ整備への取り組みを聞いた。 槙尾川ダム本体着工を予算要求 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――今年度は財政再建プログラムの下での事業実施となりましたが、まずは本格予算以後から、これまでの 状況についてお聞かせ下さい。 ■福田部長 1番大きかったのは建設系事業費の2割削減と維持管理関係での1割削減ですね。これにより 建設事業では実施中の事業の半分近くで一時休止やペースダウンを余儀なくされ、市町村や地元、地権者の 方々からお聞きしていた要望に応えることができず、ご迷惑をおかけしました。特にダム事業では、槇尾川 ダムでは今年度、安威川ダムでは来年度に予定していた本体着工がいずれも見送りとなりました。安威川ダ ムでは、生活再建ということで付け替え道路の整備を実施しております。これは当初から優先事業として位 置付けておりましたから。 ――維持補修事業と道路関係事業は。 ■福田部長 維持補修事業で関しては、建設事業費からの補填でまかないましたが、1割とまではいきませ んが減少しています。計画保全の部分で影響はありますね。道路では第2京阪道路が2009年度内に供用開始 を予定しており、工事も全区間で動いており、最盛期を迎えていますね。阪神高速大和川線につきましては 昨年度中に発注を終え、現在ではシールド工事や橋梁工事が実施されています。あと、道路の予防保全は一 挙にできなくなりましたが、防災関係のポンプ場や水門整備などは、予算が減ったとしても整備は行ってい きます。 ――見直し対象事業については、知事も現地視察をされてますね。 ■福田部長 ええ、安威川と槇尾川の両ダム現場は視察され、必要性は理解されたと思っております。第2 京阪道路の現場は近畿地方整備局の局長とご一緒に視察され、大和川線も直轄事業部分を視察されておりま す。 ――厳しい予算の中では職員の方々もご苦労されているのでは。 ■福田部長 予定価格と落札価格の差金を別の工事に回したり、各担当部署で予算を回しあったりしながら やりくりしております。ですから職員の意識もかなり変化してきたように思いますね。 ――さて、来年度の予算要求や事業の見通しとしては。 ■福田部長 やはり財政再建プログラムに基づき建設事業2割、維持管理1割の削減となりますが、当初要 求ではプログラムより増額要求とし、知事ヒアリングで説明させていただきました。ダムでは槇尾川ダムで 本体工事に着工したいとの意向で予算要求しております。いずれにしろ厳しい予算の中では、新規事業への 着手は困難な状況で、現在実施している事業を早期に完成させることになりますね。 ――入札では総合評価方式が増加しておりますが、効果の程は。 ■福田部長 今年度はまだ出ておりませんが、昨年度のデータでは価格で全てが決定したようにはなってお りませんね。全体に占める割合は少ないですが、技術評価が価格を逆転するケースもあります。総合評価方 式では技術審査型が中心となりますが、課題は審査期間の短縮ですね。手続き期間も含めてもう少し短くで きないかどうか、契約局と協議しています。都市整備部では現在、1億8千万円以上の土木一式工事を対象 とし、5千万以上でも一部で実施しております。また、橋梁上部工事や舗装など工種も広げています。 ――昨年、知事が一部工事での予定価格事前公表を廃止すると発言されておりましたが。■福田部長 え え、特殊なプラント電気設備工事です。特に増設工事におおいては既存施設の設備との取付の関係からか、 元々の工事を担当した企業以外は参加しないケースが殆どで1社のみの入札で、このため落札率も99%以上 となることから事前公表を取止めとしたもので、今年度は残り5件を予定しており、全て事前公表なしで試 行入札を行い様子を見ることにしました。 ――現在、建設業界は未曾有とも言える不況下にありますが、行政としての何か手立てがありましたら。 ■福田部長 府内の中小業者さんは特に厳しいことは認識しております。行政としてはお願いという形にな りますが、大手ゼネコンが元請として受注した場合、出来るだけ府内業者を下請けとして参加させことと、 資材購入に関しても府内の企業から購入してほしいと、申し入れております。府の財政状況がご承知の通り で、工事発注などでの対策は難しいですが、府としても出来る限りのことは実施していこうと考えておりま す。 ――よろしくお願い致します。官民とも厳しい状況が続きますが、今後もインフラ整備にご尽力下さい。あ りがとうございました。