
《大阪の再建と再生を支援》 大阪府土木部・丸岡耕平部長に聞く(1) どのような状況にあっても後退が許されない社会資本整備。国民の暮らしを支え、社会 活動には不可欠なものとなっている。大阪府におけるインフラ整備を推進する大阪府土 木部では、厳しい財政状況の中にあっても施策の「選択と集中」、「知恵とアイデア」 によって事業を進めている。「府庁の元気は土木部から」を旗頭に、大阪に再建と再生 を目指す丸岡耕平部長に、今後の見通しなどを聞いた。 (渡辺真也)
――今年度事業の取り組み状況から。 「府の行財政計画の改定に際して知事が、大阪府の再建と再生という“二兎を追う”との方針を出しました。 このうち大阪府の再建ということで土木部では、都市基盤整備中期計画を見直し、建設事業費を従来の1割カ ットからさらに1割をカットしました。厳しい情勢ではありますが、選択と集中による事業の重点化を図りま した」 ▽これと併せ、メンテナンスに係る「維持管理アクションプログラム」を策定。限られた予算の中で創意工夫 や創造性を発揮し、戦略的な維持管理の実施を基本として、これまでの対処療法的な維持管理から目標型管理 への転換を進めている。 「大阪の再生では社会基盤整備だと思います。目に見える効果を出していくことも必要で、その筆頭は道路に なります。特に幹線道路網の整備は、物流や渋滞対策の点からも重要で、また、環境対策と大阪の活性化にも 役立ちます」 ▽道路整備では、都市再生プロジェクトでもある「都市再生環状道路」を挙げる。現在の状況では、既存の環 状道路に各路線が集中しており、これに阪神高速大和川線や淀川左岸線、湾岸線、近畿道などで環状道路を形 成する構想。 ――第二名神高速道路の計画もあります。 「現在の名神高速道路がパンク状態にあり、事業化しておりましたが道路公団民営化議論の中で、『抜本的見 直し区間』が設定されました。これは物流輸送の上からも、大阪の再生の上からも名神とのダブルチャンネル として必要と働きかけていきます」 ――大阪の再生では、水都再生も。 「大阪再生におけるある意味では原点とも言えます。水都再生による活性化ですね。大阪市の都心を囲む河川 を水の回廊として整備し、水上タクシーなど船の利便性にスポットをあてて活用する。その船着場として民間 所有のものも含め既にいくつかあり、今後も周辺のまちづくりに合わせた整備を進める予定です」 ▽船着場に関しては現在、安治川沿いのスーパー堤防の整備に併せ、緑道とともに整備する計画がある。ま た、八軒家浜では京阪・中之島新線の復旧工事に併せた水上ターミナル整備が、2008年の完成を目指して行わ れている。 「また、これらの取り組みと合わせ観光にも力を入れようとしています。国内観光客はもとより、海外から年 間約200万人の旅行者に大阪に来てもらうことを目標に施策を展開しております」 ▽土木部では、「観光交通ホスピタリティ向上事業」として、道路標識と案内表示を4か国語で表記すること を、来年度からの具体化に向けて協議を進めている。 (2)につづく