マリンエアが大阪湾ベイエリアに新風を吹き込み、新たな活力を生み出す―。 播磨灘から大阪湾、紀伊水道にかけて広がる大阪湾臨海部地域では、関西圏の 活性化を先導していくリーディングプロジェクトが活発に展開されており、そ の一翼を担う神戸空港マリンエアが16日、大きな期待を担って待望の開港を迎 える。「環境に配慮した都心に近い便利な空港」として機能し、経済の回復や 雇用の確保ももたらす神戸空港は、神戸市が設置・運営する第3種空港で、ポ ートアイランド沖の海上に誕生。 人・物・情報の集積はもとより、災害時にも対応できる緊急物資の支援基地や 緊急医療活動などの後方支援基地としての役割も果たす。また、「複数滑走路 +24時間運用」というグローバルスタンダードへの対応を図るために進めてい る関西国際空港2期事業についても2007年の新滑走路供用開始を目指し、現在 は舗装工事に拍車がかかっている。一方、「海のみなと」の整備は、大阪港と 神戸港が04年7月にスーパー中枢港湾に指定され、国際競争力の高い港湾サー ビスを目指すプロジェクトが今後活発に進められていく。
【写真上は今月16日に待望の開港を迎える神戸空港、写真下は造成中の大阪 湾・夢洲】
----------- ----------- ----------- ----------- ●新風を吹き込む神戸空港 兵庫県の西播磨地域から和歌山県にまで伸びる大阪湾臨海部地域には、古来から近畿圏の活力を支え続けてき た重要な「みなと」が点在しており、近年においては重厚長大型の産業・物流拠点として近畿圏のみならず我 が国の経済社会の発展を支え続けている。 その一方では、脱工業化の進展やIT革命など、産業・経済・社会環境の変革に伴って機能が大きく変革する ようになり、大阪湾・播磨灘・紀伊水道に広がる大阪湾ベイエリアは、密度の高い土地利用が進む近畿圏にお ける貴重な低利用地として重要視されるようになってきた。 こうした背景の下、関西の政財界が立法化を推進した「大阪湾臨海地域開発整備法(大阪湾ベイエリア法)」 が1992年12月に成立。19条からなる同法は、「大阪湾臨海地域の産業構造の変動に対処しながら環境問題にも 配慮しつつ、世界都市にふさわしい機能と住民の良好な居住環境を備えた地域として整備するための総合的な 計画を策定し、活力の向上と東京一極集中是正に寄与する」ことを目的とするもので、多極分散型国土の形成 に向けて大きな一石を投じた。 《関空2期事業 新滑走路供用開始に向け拍車》 この追い風に乗って加速し、活力ある関西圏の創造に対する楔を打ち込んだのが関西国際国際空港。24時間運 用可能な同空港は、我が国および関西地域における国際拠点空港として94年9月の開港以来、人・物・情報の 交流を促進しながら経済・産業・文化・観光等の発展を牽引している。しかし、アジアのハブ空港としての機 能を担う関西国際空港には、滑走路(3,500m)が1本しかないため、基幹国際空港としてのグローバルスタ ンダードである複数滑走路の実現が強く求められ、99年7月から2期事業がスタートした。 現在の空港島の沖合に545haの新しい空港島を造成し、延長4,000mの平行滑走路や誘導灯などの離着陸施設な らびにエプロン、旅客・貨物取り扱い施設などを整備するこの2期事業は、上物(空港施設)の整備を関西国 際空港、下物(空港用地)の整備を関西国際空港用地造成が担当する上下分離方式を採用して展開。地盤改 良、敷砂、護岸築造、土砂投入などの手順で推進した用地造成については、昨年9月に滑走路部の2次揚土が 概成し、現在は舗装工事に拍車がかかっている。 一方、07年の新滑走路供用開始を目指す関西国際空港と相まって、関西圏の浮上を担っていく神戸空港マリン エアは、今月16日に待望の開港を迎える。「環境に配慮した都心に近い便利な空港」として機能し、経済の回 復や雇用の確保をもたらす神戸空港は、神戸市が設置・運営する第3種空港で、ポートアイランド沖約3kmの 海面を埋め立てて272haの空港島を建設。国内線の離発着が可能な2,500mの滑走路1本をはじめ、旅客・貨物 ターミナル、エプロン、ライン整備用格納車、小型航空機整備施設、鉄軌道車庫および都市再開発用地、港湾 関連施設、総合物流施設などを設けて人・物・情報の集積を図るとともに、災害時にも対応できる緊急物資の 配送拠点や緊急医療活動などの後方支援基地としての役割を担っていく。 神戸空港の建設は、神戸市が82年に「神戸沖新空港計画試案」を発表してから17年の歳月が経過した99年9月 から本格化。空港島の外周護岸(延長7.7km)が一部作業船の出入口を除いて2001年末に概成したのに引き続 いて埋立に弾みがついた。 神戸市独自の連続一貫システム(内陸部造成・残土運搬・埋立事業)を活用して推進した神戸空港島の埋立造 成工事は、GPSを利用した運航管理によって多数の作業船を効率的かつ安全に航行させながら展開。サンド ドレーンによる圧密の進行と強度の確認によって高品質を確保していった。 三宮から空港の旅客ターミナルビルまで、ポートライナーによって最短約16分で結ばれる都心に近い便利な空 港として親しまれていく神戸空港。?フェニックスの翼?として、神戸経済の復興を牽引するのはもちろん、 大阪湾ベイエリアに新たな活力を生み出す。 ----------- ----------- ----------- ----------- ●期待のスーパー中枢港湾 大阪港、神戸港 海外との貿易に大きく頼っている島国・日本にとって、港湾は海外と国内地域間の流通の玄関口として欠かせ ない存在で、豊かな国民生活や活発な経済活動を支え続けている。 しかし、物流が広域的かつグローバルに展開されるようになった近年においては、我が国の港を取り巻く現状 は厳しいものになっており、国際物流機能の強化へ向けた取り組みが強く求められていた。 こうした背景の下、関西経済圏の生産・消費活動を支える我が国有数の国際貿易港として発展してきた大阪港 と神戸港は、2004年7月23日に、京浜港(東京港、横浜港)および伊勢湾(名古屋港、四日市港)と並んで、 スーパー中枢港湾に指定され、国際競争力の高い港湾サービスを目指すプロジェクトが活発に進められてい る。近年の近隣アジア主要港の躍進によって相対的な地位が低下している我が国のコンテナ港湾の国際競争力 を重点的に強化するため、官・民が一体となって次世代高規格コンテナターミナルを育成するスーパー中枢港 湾プロジェクトの目標は、「港湾コストの約3割低減」と「リードタイムを1日程度まで短縮」することに置 かれ、物流のスピードアップを図っていく。 《国際競争力の高い港湾サービス提供》 アジア諸国の主要港を凌ぐコスト・サービス水準の実現を目指すため、スーパー中枢港湾では、船の大型化や ターミナル運営の効率化への要請に対応し、岸壁延長1,000m以上、奥行き500m程度を確保した「次世代高規 格コンテナターミナル」を形成。スケールメリットを活かし、コストおよびリードタイムの縮減に努めてい く。その一翼を担う大阪港では、国際物流機能の強化に加え、モーダルシフトの推進による地球環境への貢献 や、安全・安心な港づくりを展開。また、物流の合理化・高度化に応える国際交易施設の拡充ならびに国際 化・情報化社会に対応する臨海新都心の形成を目指していく。 活力と魅力ある国際都市として大阪が発展していくため、臨海部に高次の都市機能を集積している大阪港。 「テクノポート大阪計画」に基づきながら、咲洲、夢洲ならびに現在造成中の夢洲の各エリアを中心として国 際交易、国際交流、情報通信、先端技術開発の拠点整備や文化レクリエーション、居住機能の整備を進めてお り、交通アクセスについてもさらなる連携・機能強化を図っていく。 それへの動脈として大きな期待を集める「夢洲トンネル」は、咲洲と夢洲を結ぶ幹線臨港道路として計画され たもので、延長は約2.1km。鉄道と道路を併設した海底トンネルと陸上トンネルを海底部は沈埋トンネル工 法、陸上部は開削工法でそれぞれ施工している。 大幅な時間・距離短縮効果による港湾物流コストの削減な ど、大阪港の国際競争力強化などに重要な役割を果たす「夢洲トンネル」の完成予定は08年度。大阪港に文字 通りの夢を架ける。 一方の神戸港は、1868年の開港以来、日本経済の発展を支えてきた国際貿易港。最新鋭の港湾・物流関連施設 に加えて、130有余年の歴史の中で培われた貿易・物流全般にわたる高度な技術やノウハウを有している経験 豊かな民間企業と関係官庁が数多く集積している。また、高度に発達した高速道路・幹線道路網によってヒン ターランドと結ばれているというメリットも最大限に発揮しながら関西のゲートポートとしての役割を果たし ており、2月16日に開港する神戸空港(マリンエア)と相まって、海・空・陸の総合的な交通・物流拠点とし ての新たな発展を目指していく。