

建替事業で鮮やかな変貌 この春、ふたたび花開く緑豊かな丘で、快適ライフを満喫―。独立行政法人 都市再生機構西日本支社が進めていた建て替え事業によって、「緑ヶ丘団 地」(大阪府池田市緑丘2)の一角が鮮やかな変貌を遂げ、「アルビス緑 丘」として新たな歩みを始める。今回完成したのは、鉄筋コンクリート造6 から8階建ての集合住宅8棟、総戸数324戸で、このうち、ハンシン・狭間建 設工事共同企業体が施工した16―(仮称)緑ヶ丘団地1−1工区B地区建築 工事によって竣工したのは103号棟、104号棟、105号棟の3棟(総戸数113 戸)。同JVでは、厳選した各協力会社と力を合わせ、他工区との調整を密 に図りながら品質の向上を安全第一に目指していき、大規模建て替え事業の 嚆矢を飾るのにふさわしい成果を収めた。 平成16年7月1日、都市基盤整備公団と地域振興公団の地方都市開発整備部 門が一つとなって発足した独立行政法人都市再生機構。以来、地方公共団 体・民間事業者などとのパートナーシップの下、大都市および地域社会の中 心となる都市において、民間事業者による都市再生を支援するコーディネー ト、民間投資を誘発する基盤整備・敷地整備などと積極的に取り組み、国家 的重要課題である都市再生を先導している。
【写真上:105号棟の戸数は44戸/下:ダイニングキッチン】
また、都市基盤整備公団から継承した約77万戸の賃貸住宅などを適切に管理するため、既存賃貸住宅ストッ クの再生・活用、適切な維持保全、顧客サービスの向上などに努めていき、豊かな生活空間を提供してい く。地域に深く根ざし、良質で安心・快適な住宅として親しまれてきた「公団の賃貸」。高度経済成長期の 昭和30年代には、全国で約16万戸が建設され、西日本支社管内においてもこのうちの約4万7,000戸が供給さ れた。しかし、都心やその周辺に位置する恵まれた立地条件を誇り、住宅需要が高いにもかかわらず、敷地 の有効利用が図られていない団地が多くあり、住宅の規模や間取り、設備などについても今日の居住水準と 比べて劣っているものがかなりある。 《恵まれた生活環境、梅田へのアクセスも快適》 このため、都市再生機構西日本支社では、都市における既存ストックの活用に力を注いでおり、現在のライ フスタイルにマッチした安全・安心・快適な住宅の供給ならびに21世紀にふさわしい住環境の提供に努め、 都心居住の推進や高齢者居住の安定確保、子育て環境の整備などの課題への対応もきめ細かく図っていく。 団地の再生・活用への柱となる建て替え事業によって鮮やかな変貌をこのほど遂げたのが昭和37年6月から 39年5月にかけて完成し、管理を開始した「緑ヶ丘団地」(1,130戸)で、「アルビス緑丘」として新たな歩 みを始める。 古来から商業地として栄え、美しい自然と快適な生活環境に恵まれた池田市の山の手に位置する「アルビス 緑丘」。梅田から約16分という快適なアクセスを誇る阪急電鉄宝塚線「石橋」駅からも阪急バスを利用すれ ば最寄りの「緑丘」停留所まで約七分という至近距離にあり、周辺には大型ショッピング施設や医療施設な らびに保育所、幼稚園、小学校などの生活必需施設、教育施設がすべて徒歩圏内に揃っている。 《RC造6から8階建て113戸》 緑豊かで閑静な生活環境に恵まれた「アルビス緑丘」。今回の建て替え事業によって、鉄筋コンクリート造 6から8階建ての集合住宅8棟、総戸数324戸が完成し、今月18日から入居が始まった。 このうち、ハンシン・狭間建設工事共同企業体が施工を担当した161(仮称)緑ヶ丘団地1−1工区B地区建 築工事によって完成したのは、6階建ての103号棟、7階建ての104号棟、8階建ての105号棟の三棟で、総戸 数は113戸。その内訳は、103号棟が36戸(2DK12戸、2LDK18戸、3LDK6戸)、104号棟が33戸(2 DK18戸、2LDK7戸、3DK7戸、4LDK1戸)、105号棟が四四戸(1R1戸、1DK7戸、2LD K4戸、3DK20戸、3LDK12戸)となっている。家族構成やライフスタイルに合わせて選べる多彩な間 取りプランに加え、暮らしを育む最新の設備を導入している「アルビス緑丘」。入居者は、潤いとゆとりの ある暮らしを約束する環境が整っている緑の丘で、安全・安心・快適な生活を満喫していく。 《ハンシン・狭間建設工事共同企業体》 風がおいしい、閑静な街の一角において、優れた技術力を発揮し、大規模建て替え事業の嚆矢を飾るのにふ さわしい高精度施工を達成したハンシン・狭間建設工事共同企業体。上尾勉所長をはじめとするJVならび に厳選した各協力会社の精鋭スタッフが、独立行政法人都市再生機構西日本支社大阪南工事事務所の監理に 基づきながら、品質の向上を安全第一に目指していき、多くの関係者から寄せられていた全幅の信頼に応え た。 ▽無事故・無災害の達成(作業員の安全意識の向上、第三者災害の絶滅)▽契約工期の厳守▽躯体コンクリ ートの品質確保▽防水工事の品質確保―という作業所方針の達成を目指し、一丸となって取り組んだ工事が 本格化したのは平成16年12月初旬。工期を厳守するため、サイクル施工を励行していった。 階高の高い北面の105号棟を先行させ、次いで南面の103号棟、最後に中央部の104号棟を施工するという手順 で進めた杭打ちは、プレボーリング先端拡大根固め工法を採用して推進。103号棟と104号棟には、長さ8か ら9mのSC杭を合計137本、105号棟には長さ25から26mの3本継ぎSC+PHC杭78本をそれぞれ打設し た。杭打ち機3台を導入して推進した3棟の杭打設は、年明けの1月中旬に完了。この間には、受水槽の杭 打ち(PHC杭13本)も行った。総土量が約5,300立方mにおよんだ掘削(最深部GLマイナス3.8m)は、 湧水に悩まされることなくドライワークを保っておよそ1か月間で完了。基礎工事も順調に進み、4月中旬 には1階床コンクリートの打設までが終わった。 引き続いて着手した躯体は、ワンフロア当たり実働15日ピッチで上昇。内スラブがハーフPCとなっていた ので、精密な資材の搬入工程を確率した上でコンクリート打設日を確定して着実に施工した結果、103号棟は 7月28日、104号棟は8月13日、105号棟は同月22日にそれぞれ打ち上げを果たした。103号棟から6月中旬に 始めた内装は、サイクル施工によって工程通りに進捗していき、10月末に完了。また、外部足場の解体後か ら軌道に乗った外構についても、別途工事の土木・造園を除いて12月初旬に終了す るに至り、建物完成検査を同月6日と7日に受けた。 《他工区との調整にも力量発揮》 引き続き維持管理を経て待望の入居が始まった「アルビス緑丘」。今回完成した8棟は、AからDまでの4 地区に分けて建設されたため、他工区との調整がポイントとなっていた。それへの対応を図る上において、 機能をいかんなく発揮したのが「緑ヶ丘団地1−1工区安全協力会」。全体の調整や全体の要望のとりまと め、さらには都市再生機構との交渉をスポンサー工区でもあったハンシン・狭間建設工事共同企業体が行 い、生コンクリートをはじめとする資材搬入の円滑化、団地自治会との密接な協力体制の確立などに貢献し た。 《協力会社厳選し高品質を確保》 一方、工程の厳守、作業の効率化ならびに厳選した各協力会社が持てる能力を発揮しながら真摯な取り組み を展開したことによって、工期内竣工を達成した現場内においては、都市再生機構の指導の下、品質の向上 を目指す様々な対応策が講じられた。 なかでも、コンクリート精度の向上に対しては、業者分担、施工区分、注意事項、品質確保の方法などにつ いてのミーティングを事前に実施するとともに、仕様材料の品質を吟味。また、コンクリート打設時におい ても担当者による品質点検をISO9001に基づいて徹底した。近隣に対する配慮としては、交通整理員5名 を常駐させて第三者災害の防止に全力を傾注。このほか、周辺住民の憩いの場として親しまれている舟池に は、絶滅危惧種のヒメボタルが生息していたため、仮囲いの設置や周辺の清掃などによる環境保全に留意し て貴重な陸生ホタルの保護に万全を期した。安全管理活動においては、手すり先行工法を採用して墜落・転 落災害の防止に努めたのが特徴で、重大災害ゼロを達成した。 上尾勉所長の話=今回の工事は、団地全体を4地区にて施工しました。その中で、当作業所は、工事全体の スポンサーの役割もあり、着工から竣工に至るまでの間は、気をぬく事のできない現場でした。この間、都 市再生機構ならびに監理関係者の方々、近隣の皆様方のご指導、ご協力を得て、大きな問題もなく竣工を迎 えたことは、私自身にとりまして大きな喜びであり、スタッフ一同に感謝しております。これに加え、新し いアルビス緑丘団地の建設に携わった約15か月間は、瞬く間に過ぎましたが、持てる技術と努力を惜しまな かった各地区の関係者の方々、大変ご苦労様でした。私自身も、今まで長年に亘り建設工事に関わってきま したが、今回の現場は集大成ともいえる現場でした。最良の建物が出来たといえます。それを成し遂げる事 が出来たのは、JVスタッフ、各協力会社がより良い建物を追い求め、誠実に取り組み実践した証です。最 後に、工事に関わった全ての方々にお世話になりました、ありがとうございました。