豊能町・能勢町への新規給水に弾み 豊能町・能勢町へのパイプラインとなる北部送水管の一翼を担う重要構造物な らびに茨木市の簡易水道を上水道に統合するための施設(1部)がこのほど完 成した。大阪府水道部が、茨木市大字泉原地内に建設を進めていた大阪府第3 中継ポンプ場・茨木市泉原受水場がそれで、今秋に予定している豊能町・能勢 町への新規給水ならびに茨木市の簡易水道事業における供給安定性の向上に大 きく寄与する。一方、池容量660立方mの大阪府第3中継ポンプ場と、同143立 方mの泉原受水場の施工を担当した山本土木?では、環境保全に留意しながら 安全第一に品質の向上を目指していき、大阪府および茨木市関係者から寄せら れていた全幅の信頼に応える高精度施工を全工期無事故・無災害で達成した。
【写真上:南面】
【写真下:府営水道地下ポンプ室】
大阪の水道は、大阪市が1895年、堺市が1910年、守口市が1925年に給水をそれぞれ開始するなど、市町村を単 位として、独自の水源により整備が進められた。しかし、産業の発展や人口の増加に伴って、各市町村の水道 水源の不足は深刻なものとなったことから、淀川の水を合理的に利用する必要性が生じてきた。このため、大 阪府が、水道用水供給事業を行うこととし、1940年に建設工事に着手。第2次世界大戦によって工事は一時中 断したものの、1948年に工事が再開され、1951年に通水を開始した。 以来、水需要の増加ならびに市町村水源の枯渇や水質悪化などに対応するため、大阪府営水道では、施設の拡 張を重ね、「水の製造・卸問屋」としての役割を果たし続けており、現在も2010年度を目標年次とする第七次 拡張事業を計画的に進めている。庭窪浄水場、三島浄水場、村野浄水場の3つの浄水場で年間約6億?の生活 用水をつくり、これまで府内40市町村、約617万人の府民に暮らしの水を供給してきた大阪府営水道では、安 全でよりおいしい水づくりにも力を注ぎ、1998年7月より府営水道のすべての浄水場から高度浄水処理水を供 給。また、昨年11月からは生物処理を加えた水道水の供給が庭窪浄水場でも始まった。 このように、安全で良質な水を安定的に効率よく給水できる体制を整え、府内市町村の水源的役割を担ってい る大阪府営水道。今秋には、豊能町・能勢町への通水も果たす予定で、これにより、大阪市を除く府内42市町 村すべてへの給水が実現する。豊能町・能勢町においては、近年、水需要が増大し、水源水量が不足するよう になった。このため、大阪府営水道では、豊能町・能勢町への新規給水に向けて北部送水施設を建設してい る。給水対象市町は、茨木市・豊能町・能勢町の1市2町で、2010年度に目標水量、日量1万5,300立方mを送 水する計画。送水管のルートは、国道171号線の茨木市清水から分岐し、府道余野茨木線等を通り、多留見峠 や野間峠を経由して能勢町の野間中の配水池に至る約20?に、口径φ1,000?からφ250?の送水管を布設す る。また、施設は管路の高低差が約400mあることから、中継ポンプ場を4カ所、その他に多留見浄水池、サー ジタンクを整備。このうちの第3中継ポンプ場は、国文都市内の第1中継ポンプ場、茨木市佐保地内の第2中 継ポンプ場を経由して揚水された水を、多留見浄水池に揚水するためのもので、池容量は660立方m(330立方m ×2池)。なお、建屋の規模は鉄筋コンクリート造り地下一階地上一階、延べ床面積783立方mとなっている。 一方、茨木市の水道事業は、1929年3月、給水人口約1万人を目標に茨木町営水道として給水を開始。以来、 8次に亘る拡張事業を実施し、2002年度から第九次拡張事業に着手した。この第9次拡張事業事業は、2001年 3月に大阪府営水道の豊能町、能勢町への供給拡張計画が決定され、茨木市簡易水道の上水道への統合が可能 になったことをはじめ、国際文化公園都市の開発計画の見通しなど、茨木市の水道事業を取り巻く状況の変化 に対応するために策定されたもので、2002年度から事業に着手した。 《茨木市簡易水道の上水道統合への一翼も担う》 現在、茨木市では、主に平地部に給水している上水道のほかに、山地部に点在する集落毎に簡易水道を八カ所 (泉原、生保、車作、忍頂寺、銭原、上音羽、安元・板谷、下音羽)と特設水道を一カ所(清阪)設置して水 道事業を展開。しかし、これらの簡易水道と特設水道は、安定性が低いことに加え、各施設が小規模であるこ とから、維持管理の効率が悪いし、設備の老朽化も進んでいた。こうした背景の下、茨木市においては、既存 簡易水道における供給安定性の向上を図るため、簡易水道を上水道へ統合整備する計画を策定。2002年3月28 日に茨木市上水道事業の変更認可を取得した。 このほど完成した大阪府第3中継ポンプ場は、豊能町・能勢町へのパイプラインとなる北部送水管の一翼を担 う重要構造物、茨木市泉原受水場は、同市の簡易水道を上水道に統合するための施設で、大阪府茨木市大字泉 原地内に設けられた。この第3中継ポンプ場に併設された泉原受水場の池容量は、143立方mで、建屋の構造規 模は鉄筋コンクリート造地下一階地上一階、延べ床面積132?。当面は、泉原地区に今秋から給水を開始する 予定。