

プレキャストコンクリート工法システム確立 (株)鴻池組(大岩祥一社長)はこのほど、RC造の超高層集合住宅を高品 質、短工期で建設するプレキャストコンクリート工法システムを確立し、大阪 市中央区で建設中の「淀屋橋アップルタワーレジデンス」に適用して、一フロ アを4日サイクルで構築している。 同社では、1980年代の初めからRC造の超高層集合住宅建設工法の開発に着手 し、1989年に関西地区で初めてとなるRC造31階建て集合住宅を大阪市此花区 に完成させて以来、多くの超高層集合の設計及び施工実績を積み重ねてきた。 今回のプレキャストコンクリート工法は、都市部におけるタワー型マンション の建設に対応したもので、建物外周部に柱や梁が配置されたアウトフレームタ イプの住棟などを高品質かつ効率よく建設するもの。適用物件は地下3階、地 上46階建て、住戸数304戸のタワー型マンションで、柱、梁及びパネルゾーン など躯体のほとんどの部分に工場で製作した高品質なプレキャスト部材を用い ている。これらの部材を二基の大型タワークレーン(500トンm級)を用いて、 専門工が決められた手順に従い精度良く取り付けている。
【写真上:プレキャスト部材の取り付け状況】
【写真下:建設中のアップルタワー】
具体的に、プレキャスト化による現場作業の省力化に加え、揚重作業や仮説足場の工夫など現場マネジメント の確立により、21階以上では一フロアを4日サイクルで構築している。同社の従来型工法の施工実績と比べる と、作業日数が約40%短縮されている。 今回の建物は150mを超える高さがあり、高い軸力を受ける下層階の柱には高強度の材料が必要となる。このた め、設計基準強度120/?の超高強度コンクリートの国土交通大臣認定を取得し、1から2階の柱には100N/ ?の現場打ちコンクリートを大阪府下で初めて採用。また、火災時にコンクリート部材の爆裂現象を抑制する 工法を採用し、耐火性能を向上させている。 さらに、地震時や暴風時の居住性を高め、安全性を確保するために、制振装置として粘弾性ダンパー及び低降 伏点鋼ダンパーを3から35階に設置している。同社では今後、顧客のニーズに応えた高品質かつ短工期での 建設が可能となるこの建設システムを、都市部でのタワー型マンションを中心に展開していく予定。