再発防止策や立替計画を発表 大阪府住宅供給公社では、公社金岡東H団地建物は損事案に関してこのほど、原因や再発防止、建替え計画等 について発表した。原因に関しては工事担当者の認識不足などの「人為ミス」とし、再発防止では組織的な取 り組み策を構築するとした。建替えは現地での建替えとし、2008年末の竣工を予定、現入居者の移転は14日に 完了したとしている。また、担当職員らの処分も併せて行われた。 同団地は、堺市北区新金岡町4−2に、1970年に建設されたRC造1部SRC造10階建て80戸のもので、78世 帯が入居していた。破損事故は、2005年9月、クーラー用スリーブの貫通工事に際して発生、住棟の梁と柱の 鉄筋が切断されたもの。10月に公社が住民への退去要請を決め、説明会を開催する一方、専門家による耐震強 度検査を実施し、今年3月に建替えを決定したもの。 破損原因について公社ではまず、工事担当者が電気設備技術者であったため、クーラースリーブを設置するた め建築躯体への穿孔工事が建物の構造耐力を低下させるという認識がなかったと、「担当者の認識不足」をあ げた。 また、同団地の構造がラーメン構造でありながら、従来実施していた壁式構造との「思い込み」があったこと に加え、現地調査から設計などの各段階でのチェック機能が十分に働かなかったことや、工事監理者並びに施 工者の認識不足も指摘し、担当者らによる「人為ミス」であることが明らかになった。再発防止に関しては、 今後、建築・設備工事が混在する場合は、建築工事と設備工事の各担当課長による横断的な相互チェックを行 い、特に建築構造に影響を及ぼす工事での図面決裁は部長決裁とした。 また、施工業者選定審査会での説明時には、施工業者選定の説明だけでなく、設計図書による工事概要説明と 異職種職員のチェックを受けるほか、技術職員の知識向上を図るため、外部機関による技術研修会への参加や 社内研修の充実に努めるなど、公社挙げて取り組むこととした。 一方、建替え計画では、現地での建替えとし、完成時期を2008年度末を予定。計画戸数は現状の管理戸数であ る80戸以上を確保することとして検討するとしている。工事では、仮囲い設置に続き7月から8月にかけてア スベスト除去工事を行い、9月から解体工事に着手し、2007年5月からは建物本体工事を実施する予定。 このほか公社では、建物の残存価格と事故による発生した対策費等を合わせた損害額は2億円とし、関係業者 へ損害賠償を求める意向としている。また、工事担当者や管理監督者、所管業務責任者に対して減給処分など を下すとともに、理事長はじめ役員が役員報酬を自主返上するとしている。