多彩な行事を通じて”愛される鉄道”目指す
安全性・利便性・快適性の向上担うプロジェクトに高まる期待 多彩な行事を通じて利用者との触れ合いを深め、?愛される鉄道?を目指す ー。明治5年10月14日に我が国における最初の鉄道が新橋 横浜間に開通した ことを記念し、毎年10月14日を「鉄道の日」として定め、多彩な行事が繰り広 げられるようになったのは平成6年からで、今年で13回目を迎えた。 我が国の近代化を支え、現在においても社会・経済活動の促進ならびに国民に とって最も身近な公共交通機関として幅広く利用されている鉄道の発展を祝う とともに、鉄道が国民に広く愛され、その役割に対する関心が高まることを願 って制定されたもので、全国各地でイベントを展開。近畿圏においても、「鉄 道の日」近畿地区実行委員会をはじめ、JR西日本や在阪の私鉄各社が「鉄道 の日」ならびに11日から20日までの「鉄道の旬間」を中心に記念イベント、協 賛行事を開催して高速性・定時性・安全性に優れ、環境にもやさしい大量輸送 機関に対する親しみをより深めてもらうための機運を盛り上げていく。
【写真上】連続立体交差事業は交通のボトルネック解消や安全性の向上など、多大な効果をもたらす。 (写真は工事が進む近鉄奈良線若江岩田駅付近) 〜〜近鉄奈良線(東大阪市)連続立体交差事業に弾み〜〜 通勤・通学やショッピング・レジャーなどの日常生活を支える?市民の足?として幅広く活用されている鉄 道。大量・高速性に優れてるばかりでなく、環境・エネルギーの観点からも高い社会的評価を得ている。 しかし、市街地にある平面踏切道が自動車をはじめとする都市交通や人の円滑な流れを妨げるとともに、地域 を分断するなど、都市機能に大きなひずみをもたらしており、鉄道の運転保安面にも影響をおよぼしている。 このため、交通のボトルネックを解消するばかりでなく、過密化する一方の市街地を効率的かつ立体的に使え るというメリットを有する連続立体交差事業が1969年9月に建設省と運輸省が締結したいわゆる「建運協定」 を契機として活発に展開されるようになり、これまでに大きな成果を残してきた。 また、国土交通省においては、交通渋滞をはじめ、都市活動に著しい支障を来しているボトルネック踏切な ど、踏切道における事故防止および交通の円滑化を図るため、踏切道改良促進法の改正により創設した新たな 制度等を確実に実施し、踏切道の立体交差化、構造改良ならびに踏切保安設備の整備促進に努めており、全国 に約1,000か所あるといわれているピーク時遮断時間40分以上あるいは踏切交通遮断量5万台時/日以上のボ トルネック踏切を2010年度までにおよそ半分に減らすことを目指している。 こうした背景の下、JRならびに私鉄各社では、地元の各自治体と一体となって連続立体交差事業を推進。快 適で安全な街づくりに努めている。 そのうちの1つである近畿日本鉄道奈良線(東大阪市)連続立体交差事業は、大阪府、東大阪市、近畿日本鉄 道?の3者が都市計画事業として進めているもので、2003年2月に着工して以来、安全第一に工事を進めてい る。 大阪府の東部に位置する東大阪市は、大阪の都心部まで約10?という交通至便な都市として着実に発展。ま た、金属・機械関連の地場産業や多種多様な中小企業に支えられた?モノづくりの街?あるいは全国のラガー が憧れる花園ラグビー場を有する?ラグビーの街?としても知られている。 その東大阪市を東西に横断し、大阪と奈良を結ぶ重要な交通機関として地域の発展を支えているのが近鉄奈良 線。布施駅付近においては立体交差化が1977年度に完成している。 しかし、周辺地域の発展に伴って、近年では東大阪市域における道路交通の混雑状況が顕著となり、なかで も、大阪中央環状線から大阪外環状線(国道170号)間では、踏切部における交通渋滞や鉄道による市街地の 分断など、均衡ある都市の発展が阻害されるなどの影響が生じていた。 交通渋滞等のこれらの弊害を解消し、周辺地域の新たな街づくりに向けた都市機能の充実を図ることを目的と して推進している八戸ノ里から瓢箪山間連続立体交差事業の延長は約3,300m。若江岩田駅、河内花園駅、東 花園駅の3駅を高架化するとともに、若江岩田二号踏切をはじめとする九カ所の踏切道を除却する。 5工区に分割して推進している工事は、河内花園駅周辺を境に西側(布施方面)を「別線方式」、東側(近鉄 奈良方面)を「仮線方式」で施工。2011年の竣工を目指して精鋭施工陣が高度な技術力を駆使している。 工事は現在、別線方式区間においては、高架橋の構築を行っており、一部の高架橋については上層まで躯体構 築が完了。また、仮線方式区間においては、2005年4月に仮上り線、2005年12月に仮下り線にそれぞれ切替を 行った。 これにより、東花園駅については、旧駅から西側に仮設駅を設置。既設駅を撤去して整備した工事ヤードにお いて、現在は高架橋の基礎杭の構築を進めている。 〜〜大阪駅新北ビル(仮称)待望の着工へ〜〜 「大阪駅北地区全体構想」を力強く先導していく中核施設の建設が軌道に乗り、快適で利便性が高く、賑わい に満ちたターミナルの創出に弾みがついていくー。西日本最大のターミナルである大阪駅を将来にわたって大 阪の玄関口にふさわしいターミナル拠点として整備する開発計画の一翼を担う「大阪駅新北ビル(仮称)」が 今月16日に待望の着工を迎える。S・SRC・RC造地下三階地上28階建て、延べ約21?の規模を誇るもの で、2011年2月の完成予定。また、大阪駅改良工事も順調に進捗している。
【写真下】新北ビルの完成予想 ・・・シンボリックな賑わい拠点創出・・・ 全国的に見た場合でも、「都心に残された最後の一等地」であり、関西の再生をリードする新拠点として大き な期待を集めている大阪駅北地区。これまでにも、「ギャレ大阪」の開業や中央コンコースのリニューアルな ど、大阪駅の利便性と魅力向上のための様々な事業がJR西日本において進められてきた。 このほど待望の着工を迎える「大阪駅新北ビル(仮称)」は、同地区におけるまちづくりのリーディングプロ ジェクトとして注目を集めているもので、快適で利便性が高く、賑わいに満ちたターミナル創出への一翼を担 っていく。 従来の10・11番線を廃止のうえ撤去し、土地の高度利用を図るとともに、新たに整備する駅前広場の上空を重 層的に利用して駅と駅前広場を一体化する新しいビルで、構造規模はS・SRC・RC造地下3階地上28階建 て、延べ床面積約21?。キーテナントとなる三越をはじめ、専門店街、オフィス、シネマコンプレックス、大 型フィットネスクラブなどで構成する。 このうち、スクリーン数12、座席数2,500席を設ける近畿圏最大級のシネマコンプレックスは、松竹を幹事会 社とし、東宝、東映の3社で運営。また、フィットネスクラブの運営には、コナミスポーツクラブが当たる。 シンボリックな賑わい拠点として親しまれていく「キタの新名所」の開業予定は2011年春。精鋭JVが高度な 技術力を駆使しながら品質の向上を目指し、安全第一に工事を推進していく。 一方、2004年5月に着手した大阪駅改良工事も順調に進捗している。混雑の緩和、乗り換えの利便性の向上、 バリアフリー施設の充実などを目的とするもので、駅中央部に橋上駅舎を新設するのをはじめ、改札内コンコ ースの改良、巨大ドームと屋上プラザの新設・整備などを行う。 このうちの橋上駅舎は、線路の上部空間を利用して新設。各線の乗り換えがスムーズになり、混雑が一段と緩 和されるとともに、駅から北地区へのアクセスも大きく向上する。 また、改札内コンコースの改良では、各改札内コンコースの改良などによってラッシュ時でも快適な駅空間づ くりに努めていく。なお、橋上駅舎の新設やコンコースの改良に伴って、改札内ではエスカレーターを現行の 21台から76台、エレベーターを現行の五台から13台にそれぞれ増やし、人にやさしい駅空間を創出する。 このほか、新北ビルの1階には延べ約4,000?の広場、2階には約1,500?の広場をそれぞれ設け、これらの広 場から大阪駅北地区、阪急梅田駅、地下鉄梅田駅への歩行者通路を整備し、北地区周辺の回遊性を高める。 新北ビルが待望の起工を16日に迎えることにより、西日本最大のターミナルである大阪駅が、飛躍する「大 阪」、活力あふれる「関西」の玄関口にふさわしい鮮やかな変貌をスピードを上げながら遂げていく。