

第1期整備事業の中核施設 来春のオープンに弾み―。堺市からの委託を受けて独立行政法人都市再生機構 西日本支社が推進している原池公園第一期整備事業(面積3.7ha)の中核施設 となる「堺市原池公園体育館」がこのほど完成した。大アリーナ、中アリー ナ、小アリーナ、多目的室、トレーニング室で構成している鉄筋コンクリート 造(一部鉄骨)造2階建て、延べ床面積約7,000?のもので、周辺の公園施設 整備が完成する来春4月にオープンを迎える運びとなる。 一方、施工を担当した大林・藤木特定建設工事共同企業体では、設備工事との 整合性を図りながら安全第一に品質の向上をめざしていき、全工期無事故・無 災害での高品質施工を達成。多くの関係者から寄せられていた全幅の期待と信 頼に応えた。 ※写真上=来春4月にオープンを迎える「堺市原池公園体育館」 ※写真下=大アリーナ
多彩なニーズに対応 〜健康増進・交流の場として機能〜 地方公共団体・民間事業者などとのパートナーシップの下、大都市および地域社会の中心となる都市におい て、民間事業者による都市再生を支援するコーディネート、民間投資を誘発する基盤整備・敷地整備などと積 極的に取り組み、国家的重要課題である都市再生を先導している独立行政法人都市再生機構。自らすべてを行 うフルセット型から、民間投資を誘発するバックアップ型に移行したUR都市機構は、「人が輝く都市をめざ して、美しく安全で快適なまちをプロデュースする」という基本理念を掲げ、都市の健全な発展と国民生活の 安定向上に努めている。 大都市ならびに地方都市における都市再生拠点の整備をはじめ、密集市街地等の整備改善などによる都市の防 災性の向上、都市再生に資する都市公園整備ならびに良質な賃貸住宅ストックの形成など、多岐にわたる事業 と積極的に取り組んで「人が輝く都市」を創出していくUR都市機構。このうち、都市再生に資する都市公園 整備については、自然環境の創出、都市の防災性の向上など、都市の再生を図る都市公園の整備を地方公共団 体の委託に基づき推進しているもので、このほど体育館建築工事が完成した原池公園第一期整備事業について もその一環として堺市から委託を受けて工事を進めている。 大阪、京都、神戸に次いで、関西では四番目の「政令指定都市」として今春の4月1日から新たな歩みを始め た堺市。都市の再生をはじめ、産業振興策ならびに観光施策の充実などに力を注ぎ、「自由都市・堺」の再生 と発展を図っていく。 その堺市には、約1,000の公園があり、人口一人当たりに占める公園面積は7.83?(2006年3月31日現在)。 今後も、「個性豊かな都市空間の創出・やすらぎを感じる快適な居住空間づくり」の実現をめざし、身近な公 園から大規模な公園まで、体系的な公園緑地の整備を進めていくことにしている。 それへの一翼を担う原池公園整備事業は、堺市平井および八田寺町地内に運動公園を整備する事業で、計画決 定面積は17.5ha、事業認可面積は11.2ha。第一期整備工事の整備面積はこのうちの3.7haで、体育館の建設 と、その周辺の公園施設整備を来春4月のオープンをめざして進めている。 それに先立って完成した体育館は、鉄筋コンクリート(一部鉄骨)造2階建て、延べ床面積約7,000平方の規 模で、収容人数は766席(うち身障者席10席)。バレーボールコート3面・硬式テニスコート1面、バドミン トンコート8面、バスケットボールコート2面、ハンドボールコート2面が確保できる大アリーナ(約1,600 ?)、バレーボールコート・硬式テニスコート・バスケットボールコート各1面、バドミントンコート4面、 柔道場を設けている中アリーナ(約660?)、社交ダンス、太極拳などに使用できる小アリーナ(約280?)、 アーチェリー、ゲートボールなどが行える多目的室(約1,500?)ならびにトレーニング室(約195?)、中ア リーナ二階のランニングコース(1周約90m)で構成している。 原池公園第一期整備事業の中核施設となる原池公園体育館は、市民の健康づくりや交流の場として親しまれて いく。 全工期無災害で高品質施工 〜大林・藤木特定建設工事共同企業体〜 自然環境の創出、都市の防災性の向上など、都市の再生をもたらす都市公園の整備における中核施設としての 期待を集める「堺市原池公園体育館」の建築工事を担当し、堺市ならびに独立行政法人都市再生機構西日本支 社をはじめとする多くの関係者から寄せられていた全幅の期待と信頼に応える高品質施工を全工期無事故・無 災害で達成したのは大林・藤木特定建設工事共同企業体。岡本博所長をはじめとするJVならびに各協力会社 の有能なスタッフが、顧客の要求品質とニーズを満たすため、安全に留意しながら一丸となって取り組み、市 民の健康増進や交流の場として親しまれていく多彩な施設を高精度に完成させた。 「全工期無事故・無災害で顧客ニーズを満たす高品質な建物をつくろう」という岡本所長の方針に基づいて、 各設備工事との整合性を図りながら進めた建築工事が本格化したのは昨春4月。大アリーナ、中・小アリー ナ、多目的ホールに分割し、PHC杭を計画的に打設していった。 また、先行する大アリーナでは、杭打ちとラップさせながらSGLマイナス4.12m(最深部)までの掘削を推 進。地盤改良板の撤去を一部で強いられたものの、湧水に悩まされることなく作業は円滑に進捗し、約1か月 で完了するに至った。 この後は、地下ピット部ならびに一連の基礎工事を淀みなく進め、8月中旬から地上躯体に着手。外壁がコン クリート化粧打ち放し仕上げのため、コールドジョイントやジャンカの抑制に努めながら品質の向上を目指し ていった。 具体的には、コンクリート打設毎に関係作業員による事前打ち合わせや受け入れ検査を入念に行ったのをはじ め、打設日の夕方及び翌日に十分な散水・養生を実施。また、鉄骨建て方計画についても、関係協力会社を集 めてのコラボレーションを行うなどして品質・安全の確保を図った。 この結果、12月初旬に大アリーナの打ち上げを無事に果たしたのに引き続いて、年明けの1月中旬には屋根の 鉄骨建て方が完了。また、アルミメッキ鋼板による屋根工事も2月下旬に終了するに至った。 棚足場を組み立ててから本格化した内部仕上げ工事も9月中旬に完了。中・小アリーナ、多目的ホールについ ても工程どおりに進捗し、工期に幾分の余裕を持ってすべての建物が高品質に完成した。 この間、大林・藤木特定建設工事共同企業体では、近隣に対する迷惑防止や環境保全対策に万全を期して工事 を推進。低騒音・低振動型機械の導入はもとより、仮設の場内運搬道路の散水養生を徹底して粉塵の抑制に努 めた。 また、「外部から現場の状況がわかるようにしてほしい」という近隣住民からの要望に応えるため、北側道路 沿いの仮囲いの一部を万能塀から透明のポリカボネートに変更して?開かれた現場?を具現化。このほか、小 学校の通学路に当たる南側道路の一部にはスケルトンのフェンスバリケード(高さ1.8m)ならびに防犯灯 (デオライト)を30m間隔で設置するなどして治安の向上にも貢献した。 一方、完成に至るまでの現場における苦労としては、「日陰のない広大な敷地での暑さ対策」(岡本所長)が あった。
1万6,813?にもおよぶ広大な敷地に照りつける夏の太陽。その強烈な日差しを遮るものがないため、仮設テ ントを二カ所に設けて日陰を創出するとともに、大型扇風機を数多く設置して冷気を確保。また、熱中症対策 としては、ウォータークーラーはもとより、食塩の携帯用パックを完備し、「十分な補給」を全作業員に呼び かけて対応を図った。 安全管理面においては、墜落災害、重機災害、飛来落下災害の防止を重点項目として定め、職長会を中心とし た緻密な活動を展開。「一声掛け運動」やATKY活動などを励行して安全な職場環境の創出に努めていた。 この結果、毎日の作業打ち合わせや、毎週の「ホウレン草(報告・連絡・相談)会議」を通じて緻密な調整を 図っていた設備工事を含めた無事故・無災害時間記録は26万2,000時間に達し、来春のオープンに大きな花を 添えた。 岡本博所長の話 意志の疎通を十分に図りながら、JV職員ならびに各設備・協力会社のスタッフと一体となって取り組んだ工 事には、多くの苦労が伴いましたが、建物の形状が形として現れ、具体化していく毎に喜びが増していき、完 成時にはすべての苦労が報われました。今後、この体育館が、利用者の多彩なニーズに応えながら、親しまれ ていくことを願っています。