関西圏の浮揚に向けて 新たな翼を広げて関西圏の浮揚をもたらす―。播磨灘から大阪湾、紀伊水道に かけて広がる大阪湾臨海部地域では、関西圏の活力を生み出すリーディングプ ロジェクトが活発に進められており、その一翼を担う関西国際空港の新たな滑 走路が8月2日、待望の供用開始を迎える。 ※写真:新滑走路の限定供用を今夏に開始する関西国際空港
「複数滑走路+24時間運用」というグローバルスタンダードへの対応を図るために推進している2期工事によ って誕生する二本目の滑走路は、現在の空港島の沖合に545haの新しい空港島を造成して建設した延長4,000m のもので、西日本および東アジアの国際拠点空港としの地位を確立していくための?新しい翼?として大きな 期待を集めている。 一方、開港140周年を今年迎える神戸港ならびに経済・文化・社会の発展を支え続けている大阪港が2004年7 月に「阪神港」としてスーパー中枢港湾に指定されるなど、「海のみなと」の整備についても国際物流機能の 強化を目指した新たな局面を迎えており、関西圏の活性化を先導していく。 〜関西国際空港第2滑走路・今夏に待望の限定供用開始〜 重厚長大型の産業・物流拠点として、近畿圏のみならず我が国の経済社会の発展を支え続けている大阪湾臨海 部地域。しかし、その一方においては、脱工業化の進展やIT革命などの産業・経済・社会環境の変革に伴っ て機能が著しく変化してきており、大阪湾・播磨灘・紀伊水道に広がる大阪湾ベイエリアは、密度の高い土地 利用が進む近畿圏における貴重な低利用地としてクローズアップされるようになった。 こうした背景の下、1992年12月に関西の政財界が立法化を推進した「大阪湾臨海地域開発整備法(大阪湾ベイ エリア法)」が成立。「大阪湾臨海地域の産業構造の変動に対処しながら環境問題にも配慮しつつ、世界都市 にふさわしい機能と住民の良好な居住環境を備えた地域として整備するための総合的な計画を策定し、活力の 向上と東京一極集中是正に寄与する」ことを目的とする同法は、19条からなるもので、多極分散型国土の形成 に向けて大きな一石を投じた。 大阪湾とその周辺地域では、同法の成立を契機として活力ある近畿圏の創造を目指すリーディングプロジェク トに大きな弾みがつくとともに、注目事業も相次いで着工を迎えるに至った。 なかでも、この追い風に乗って翼を大きく広げて加速し、活力ある関西圏の創造に対する楔をしっかりと打ち 込んだのが関西国際空港。24時間運用可能な同空港は、我が国および関西地域における国際拠点空港として 1994年9月の開港以来、人・物・情報の交流を促進しながら経済・産業・文化・観光等の発展を牽引してい る。 しかし、アジアのハブ空港としての機能を担う関西国際空港には、滑走路(3,500m)が一本しかないため、 基幹国際空港としてのグローバルスタンダードである複数滑走路の実現が強く求められ、1999年7月から現在 の空港島の沖合に545haの新しい空港島を造成し、延長4,000mの平行滑走路や誘導灯等の離着陸施設ならびに エプロン、旅客・貨物取り扱い施設などを整備する2期事業がスタートした。 上物(空港施設)の整備は関西国際空港?、下物(空港用地)の整備は関西国際空港用地造成?がそれぞれ担 当する上下分離方式を採用して工事を進めてきた2期工事の昨年12月現在における進捗率は約90%。地盤改 良、敷砂、護岸築造、土砂投入などの手順で推進した用地造成が竣工したのに伴って工事に弾みがついた滑走 路や航空灯などの検査も始まり、今夏の8月2日に待望の限定供用開始を迎える運びとなる。「複数滑走路+ 24時間運用」というグローバルスタンダードを備え、今後増大すると見込まれているピーク時の需要に対応し ていく関西国際空港。我が国初の完全空港は、翼を大きく広げて西日本および東アジアの国際拠点空港として の地位確立を目指していく。 〜期待集めるスーパー中枢港湾「阪神港」〜 開港140年を迎える神戸湾・都市機能の集積進む大阪湾 難波津と呼ばれた時代から、海陸交通の要衝として栄え、諸外国との交流の窓口として重要な役割を果たして きた大阪港。21世紀を迎えた現在においても、我が国の経済・文化・社会の発展を支え続けている。一方、平 安時代に「経ケ島」という人工島が築造され、国際貿易港の拠点としての歩みを始めた神戸港は、1868年の開 港以来、飛躍的な発展を遂げ、現在では我が国有数のコンテナポートとしての地位を確立してい る。 関西経済圏の生活・消費活動を下支えするとともに、諸外国との交流を促進しながら近畿の再生を先導してい く大阪港と神戸港が、「阪神港」としてスーパー中枢港湾に指定されたのは平成16年7月。物流が広域的かつ グローバルに展開されるようになった近年の状況を踏まえ、国際物流機能の強化へ向けた取り組みを促進する ために京浜港(東京港、横浜港)、および伊勢湾(名古屋港、四日市港)とともに指定されたもので、国際競 争力の高い港湾サービスを目指すプロジェクトが活発に進められている。 近年における近隣アジア諸国主要港の躍進によって相対的に地位が低下している我が国のコンテナ港湾の国際 競争力を重点的に強化するため、官・民が一体となって次世代高規格コンテナターミナルを育成するスーパー 中枢港湾プロジェクトの目標は、「港湾コストの約3割低減」、「リードタイムを1日程度まで短縮」するこ とに置かれ、物流のスピードアップを図っていく。 アジア諸国の主要港を凌ぐコスト・サービス水準の実現を目指すため、スーパー中枢港湾では、船の大型化や ターミナル運営の効率化への要請に対応し、岸壁延長1,000m以上、奥行き500m程度を確保した「次世代高規 格コンテナターミナル」を形成。スケールメリットを活かし、コストおよびリードタイムの短縮に努めてい く。 その一翼を担う大阪港では、国際物流機能の強化に加え、モーダルシフトの推進による地球環境への貢献や、 安全・安心な港づくりを展開。また、物流の合理化・高度化に応える国際交易施設の拡充ならびに国際化・情 報化社会に対応する臨海新都心の形成を目指していく。 「テクノポート大阪計画」に基づきながら、咲州、舞州および現在造成中の夢州の各エリアを中心として国際 交易、国際交流、情報通信、先端技術開発の拠点整備や文化レクリエーション、居住機能の整備を進め、活力 と魅力ある国際都市としてのポテンシャルを一段と高めていく大阪港。臨海部に高次の都市機能を集積すると ともに、交通アクセスについても新たな動脈としての大きな期待を集める「夢州トンネル」の建設が順調に進 んでいる。 咲州と夢州を結ぶ幹線臨港道路として計画された「夢州トンネル」は、鉄道と道路を併設する延長2.1?の路 線で、海底トンネル部沈埋トンネル工法、陸上トンネルは開削工法でそれぞれ施工している。 大幅な時間・距離短縮効果による港湾物流コストの削減など、大阪港の国際競争力強化などに大きな役割を果 たす「夢州トンネル」の完成予定は2008年度。大阪港に文字通りの夢を架け、連携・機能強化をもたらす。 一方、開港140周年という大きな節目を今年迎える神戸港は、最新鋭の港湾・物流関連施設に加えて、高度に 発達した高速道路・幹線道路網によってヒンターランドと結ばれているというメリットを最大限に発揮しなが ら関西のゲートポートとしての役割を果たしており、昨年2月16日に開港した神戸空港(マリンエア)と相ま って、海・空・陸の総合的な交通・物流拠点としての地位を確立。今後も高度で多彩な港湾機能と都市機能を 兼ね備えた、国際化時代に対応した港湾都市づくりを進めていく。
