総合評価方式の導入に期待 社大阪建設業協会の淺沼健一会長(淺沼組社長)は23日、大阪市内で記者会 見した。同協会の定時総会を受けてのもので、会見で浅沼会長は、協会の役割 を再認しながら今年度の運営方針はじめ現在、業界が抱える問題などについて 語るとともに、多発する低価格入札や談合問題については、「談合問題を制度 改革により対処するのは問題のすりかえ」とし、入札価格の事前公表撤廃や各 自治体で広がりつつある一般競争入札の適用拡大を「価格競争の拡大」として 懸念を示した。
【写真】会見する淺沼会長と田中宏副会長 会見には、淺沼会長並びに田中宏副会長(田中建設社長)らが出席した。 初めに浅沼会長は、協会の本来の役割について、会員のための協会、全建(全国建設業協会)を支える協会、 府民のための協会の3つを上げた。会員に対する役割では、環境が激変する中、「会員の一番の悩みは今後の 見通しが立たないことであり、それに対して的確な情報を提供し、相談にのり、協会を通じて行政側に発言す ることだ」とした。 全建に対しては、淺沼会長が全建の副会長であるという立場からも、「全国的な課題に対して前田会長を支え ていく」とし、府民に対しては、安心で安全な国土形成や国際競争力を持った社会資本整備など、「業界が果 たしてきた社会的使命を府民に理解してもらえるような活動を展開したい」と述べた。 産業構造の変化に伴う業界の再編・統合、淘汰などについて淺沼会長は、「再編や統合は、それぞれの企業の 問題であり、産業政策としてリードしていくのは間違いだと思う」とし、業界全体としては技術と経営に優れ た企業が伸びていく環境づくりに徹することだとして、「大建協としても、全建としてもそういった仕組づく りを提言していく」と語った。 また、それら環境づくりには、「各企業が請負業という業界の特殊性を自覚しながら企業戦略を見極めて経営 することが重要」とし、それら企業を活かすような施策の実施が大事だとして、「協会としてその方向性を明 確にしたいと思うし、現在では少しづつその方向に進んでいるのでは」と、総合評価方式の導入はその表れで はないかーとした。 田中副会長は、会員の多数を占める「中堅・中小企業が減少しているが、競争に耐えて生き残っていかなけれ ばと、呼びかけている」と現在の会員状況を指摘しながら、その中でも最も重要となるのは「やはり技術と経 営に優れた企業が生き残るということであり、コンプライアンスの遵守であろう」とし、中堅・中小会員の代 表として協会活動を行ってとの役割を述べた。 〜〜〜〜〜 一般入札、価格事前公表拡大を懸念 〜〜〜〜〜 一方、全国的な問題となっている低価格入札に関しては、国土交通省の緊急公共工事品質確保対策へ賛同の意 を表明しながら、全国知事会が、一般競争入札の導入拡大を明言した公共調達改革に対しては、価格オンリー の入札方式拡大につながるため「ぜひやめてほしい」と強調、一般競争のこれ以上の拡大をとりやめるととも に、総合評価方式の拡大と予定価格の事前公表の廃止の「3点セットの実施」を強く要望した。 ダンピングに関しては、「我々も努力しているが、現在の建設業界の体質であり、それらがはびこるような 産業システムなっている」との見解を示し、業界側の努力に加え、発注者側で規制できるような対策を講じて ほしいーとした。 さらに、官製談合等の不祥事に対する業界の立場については、コンプライアンスの遵守は当たり前だが、コン プライアンスには法令遵守とは別に社会の要求に合っているか、適合しているかどうか、「適合していなけれ ば生き残れないとの意味合いがある」と指摘し、その視点を理解して行動する必要があるとした。 また一連の官製談合事件については、「悪いことをした人が存在するにも関わらず、それを制度改革で対処す ることはおかしいのでは」と、入札制度改革に結びつける現在の流れに疑義を呈し、罰則を強化するべきでは ーとの見解に基づき、「現在の議論は問題がすりかえられている」とした。 これらを含め淺沼会長は、業界の信頼回復は長い道のりになると思うが、「社会資本整備に対する役割で業界 自体が不信感を払拭する仕事をし、その上でアピールをしていかなければならない」と今後の取り組みを述べ た。