東館は免震工法で保存・活用 大阪府はこのほど、府庁本館の建替えについての基本的な考え方(案)をま とめた。昨年から、建替えか補強かの調査・検討を進めてきたもので、建替 えでは700億円以上の財政負担が生じることや、本館の歴史的価値を踏まえ、 耐震補強により保存・活用を図っていくことに決定した。今後、設計などを 実施して早期に工事に着手するとしている。 府庁本館は、大正15年(1926年)に竣工したRC1部SRC・S造地下1階 地上6階建て、延床面積約3万4,000?の規模。1923年の関東大震災を受け、 当時としては最新の耐震設計を採用。その後、1955年に西館3階、1959年に 4・5階を増築した。阪神大震災を受け大阪府では、府庁舎本館が現行法上 での耐震基準を満たしていない可能性があるため、昨年2月に耐震診断を実 施した。その結果、「震度6から7の地震に対して倒壊か崩壊の恐れあり」 と診断された。
この結果を受け府では、昨年4月に「大阪府庁舎本館活用計画に関する調査業務」を財日本建築総合試験所 が、建替等については「大阪府庁舎・周辺整備のあり方に関する基礎調査業務」として野村総合研究所が、 それぞれ実施。この調査結果を基に府では、府議会庁舎整備検討委員会を設置して、建替えか補強かの検討 を行い、昨年8月にはその方向性等についての報告書をまとめた。 報告書では、本館の保存・活用方策の検討と歴史的・文化的価値等の検証、周辺に適合した土地活用による 庁舎と周辺整備の具体的な全体像、民活によるまちづくりプラン、新庁舎整備と行政財政計画との整合性な どの課題が指摘され、これらの指摘を受け、府ではさらに調査・検討を進めてきたもの。 新庁舎整備の実現可能性調査では、本館東館を庁舎として使用し、行政棟を建設する場合と、東館一部を民 間が保存・活用し、行政棟・議会棟を建設する場合、耐震補強工事のみの場合について、財政負担シミュレ ーションを実施。また、民間による土地利用の可能性について民間事業者からヒアリング調査を行った。ま た日総験の建物劣化度調査では、東館は構造耐力を損なう恐れのある鉄筋の腐食は生じておらず、劣化が進 行しないように適切に維持管理保全を行えば「50年以上の使用は可能」とされ、西館でも同様の結果が報告 された。 この結果を踏まえてまとめられた基本的な考え方では、本館は近代大阪を代表する公的建築物であり、歴史 的価値が極めて高く、多くの府民からも親しまれ、老朽化したとはいえ、最近の建築物にはない魅力を有し ていること。また、建替えの可能性では、PFI手法等を活用しても新庁舎の建設費が700億円を上回るな ど、財政負担が大きいとされた。
これらを総合的に勘案して、「本館は保存し、府の貴重な財産として有効活用するため、耐震補強により引 き続き庁舎として使用することが適当」と判断され、耐震補強による保存・活用することとしたもの。 耐震補強は、東館は建物を使用しながら工事が可能な免震工法、西館は低廉な在来工法を採用することとし ている。今後、設計業務で工事にかかる費用の縮減や工期短縮等の検討を行い、早期実現を目指していくと している。
