
神戸市では、大容量送水管整備事業で大深度地下使用法の適用を申請してい たがこのほど、兵庫県知事からの認可を受けた。同法施行後、適用されるの は全国で初めて。2つの区域で行うシールドトンネルの構築にあたり適用さ れるもので、構造物の存続期間中が使用期間となる。 大深度地下使用法は、事業の円滑な遂行と大深度地下の適正かつ合理的な利 用を図ることを目的に、「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」と して2001年4月1日に施行された。
通常利用されない地下空間で、公益性を有する事業に限り原則として地権者に対し、事前に区分地上権等の 補償を行わずに使用できる。神戸市では、大容量送水管整備事業にあたり、同法の適用を計画。今年3月に 使用認可申請書を県知事に提出、申請書の縦覧後、兵庫県の大深度地下使用審査会と近畿圏大深度地下使用 協議会幹事会を経て、今月19日に使用認可を受けたもの。 同事業は、芦屋市境から奥平野浄水場(神戸市中央区)までの延長12.8?に、計画送水能力約40万立方m/ 日のシールドトンネル(内径2.4m、セグメント外径3.35m)を構築するもの。このうち大深度使用法の適用 を受けたのは、西端に位置する奥平野工区。 同工区は、布引立坑から奥平野立坑までの延長2.4?で、このうち二つの区域が対象となる。この区間は公共 道路で直線的に連続せず、道路下の占有では大きく迂回する必要があり、本工区も、市営地下鉄と新神戸ト ンネルのアンダーパスで当初から深い線形となっており、大深度地下使用法の適用が効果的と見られてい た。 事業区域は、中央区再度筋町及び諏訪山町地内の延長109m?(区間延長125m、控除区間16m)の深さ40か ら49.5mと、中央区北野町1丁目から加納町2丁目地内の延長159.5m(区間延長166m、控除区間6.5m)、 深さ40から58.5mの2箇所。大深度地下使用法の適用により、一部私有地の地下を使用することで直線的な ルートが確保でき、延長を短縮、これにより工期の短縮と工事費の縮減、施工性の向上が図れることとなっ た。 大容量送水管整備事業は、阪神・淡路大震災を契機に、六甲山を通る2本の送水トンネルに加え、市街地を 通る新たな送水トンネルとして整備するもの。異なった2つのルートの確保と、大深度に設置することで高 い耐震性と大きな貯留能力を備え、震災時の応急給水や早期復旧が可能となる。 事業は、1996年度から実施され、同15年度には芦屋市境から住吉川立坑までの延長3.8?が供用した。奥平 野工区では、今秋にも立坑、トンネル工事に着手する予定。完成は2012年度。全体事業費は約400億円。