
中建審 平成20年度から適用へ 中央建設業審議会による経営事項審査の改正案が、来月に開催される中建審総 会で諮られ、平成20年度の審査から適用される。 改正にあたっては、「実態に即した評価基準の確立」と「企業努力の評価・後 押し」を目的に、中建審ワーキンググループ経営事項審査改正専門部会が審議 してきたもので、完工高や経営状況などの評価項目が見直された。
これら改正内容の周知を図るための説明会が23日、大阪市西区の建設交流館で近畿建設業団体協議会の主催 により開催された。
説明会は、経審の改正内容と建設産業政策研究会の最終取りまとめと併せて行われ、近畿各建設業協会の会員 ら約220人が参加した。初めに主催者を代表して協議会幹事の社大阪建設業協会の淺沼健一会長が挨拶し た。
浅沼会長は、産業政策の策定や経審改正について「技術と経営に優れた企業が伸びることを期待する。策定に あたっては業界の意見も取り入れられており、正しい方向性が示されている」とし、これらを活用しながら 「社会から信頼され、夢のある業界を目指したい」と説明会の成果に期待を寄せた。
引き続き、国土交通省総合政策局建設市場整備課の芳本竜一・建設産業振興室課長補佐による‘建設産業政策 2007〜大転換期の構造改革〜’と、同総合政策局建設業課の須藤明夫・課長補佐による‘経営事項審査制 度の改正について’が行われた。
〜〜〜 Y評点の評価基準見直し 〜〜〜 今回の見直しは、経審が企業努力を適切に評価し、企業経営の実態を的確に反映したものとするとともに、虚 偽申請を徹底して排除し、さらに企業形態の多様化等の努力を経審が阻害しないよう−−−などの観点から改 正された。
改正されたのは、評価項目基準での完工高(X1)はじめ、経営状況評価(Y)、技術力評価(Z)、社会性 (W)。 このうち完工高のウエイトを従来の0・35から0・25に、上限金額を2千億円から1千億円に、それぞれ 引き下げ、中小企業においてはW評点の実質ウエイトを相対的に高めた。
X1評点は経審において完工高競争を助長し、企業の合理的な経営戦略を歪めるものとされ、今後、建設市場 の量的拡大な見込まれないことからウエイトとともに、評点幅も400点から2、200点程度とし、小規模 業者間でも完工高の評点に差がつくよう評点テーブルを修正。
また、自己資本等のX2評点では、利益額と自己資本額評価とし、職員数の評価項目を廃止。利益額はEBI TDA(利払前税引前償却前利益)を適用し、自己資本額と一対一で合算する。
Y評点に関しては、現行制度の評価内容が固定資産に関連したものに偏り、固定資産の少ない企業が高い点数 を得る傾向にあるため、ペーパーカンパニーなどが高得点を獲得するなどの弊害が問題となっていた。 見直しでは、負債抵抗力や収益性・効率性、財務健全性及び絶対的力量を評価する8つの指標による新たな評 価体系とする。
虚偽申請排除については、会計監査人設置による経理の信頼性向上や財務諸表チェックマニュアル作成などの 虚偽の行いにくい制度設計、罰則強化などを実施。また、企業形態の多様化への対応では、企業集団に適用さ れる評価制度を創設。 一定の企業集団に属する業者(連結子会社)について、連結内務諸表により経営状況(Y)を評価する。
改正経審は、平成20年度の審査から適用され、各公共発注機関の有資格者名簿への反映は同21年度からと なる。