市民参加、市民の手に 18日に行われた大阪市長選挙では、新人の平松邦夫氏が当選、現行の選挙制度では初めての民間出身市長と なった。その平松新市長は今後、どようなまちづくりを行うのか。社日本建築家協会近畿支部(吉羽逸郎支 部長)では選挙期間中に立候補者に対して公開質問状を提出しており、その回答から、平松新市長のまちづ くりへの考え方を探ってみる。 候補者への質問は、 ?現在のあなたの「まち」は景観・まちづくりへの取り組みが良い方向に向かっていると考えるか ?将来の望ましいまちについてどのようなイメージを持っているか ?その為に、今後どのような景観・まちづくりを施策を進めていくか ?次世代を担う子供達に、どのような成育環境を与えるのか ?公共施設の設計者をどのような手法で選定すべきか ―の5項目。 これに対して、平松氏と橋爪紳也氏、関淳一氏、姫野浄氏の4氏から回答を得て、JIA近畿支部では、16 日に公開したもの。 質問?について平松氏は、近年の市長選挙での低投票率から「大阪市に対する市民の関心が低下している」 とし、その要因を、「市民パワーでつくられたまちが、官主導の大規模事業の失敗によって多額の負債を抱 える事態に至った」と指摘。これに対しては、景観・まちづくりに市民が参加できるシステムを構築し、 「大阪のまちを市民の手にとり戻す必要がある」とした。 ?では、大阪は内外の人が集まり、ぶつかり合う中で活力が生まれてき都市で、「まちも賑わい、変化し続 けるダイナミズムを将来的に持ち続ける必要がある」とする一方で、昔からの水都のイメージもあり、歴史 的スポットも多く、市内には個性的なまちかども有するなど、「多様で多層的なイメージが凝縮されている のが特徴」と見る。それらの実現を問う?の質問については、?で示した観点に基づき、御堂筋をはじめと するメインストリートのさらなる整備や水都再生、屋外広告の規制ーを上げる。 また、「都市内分権の推進」として区役所への権限を大幅に移譲するほか、まちかどの整備や商店街の再 生、緑化などで、「各地域の特色に応じた住民の発想と参加によるまちづくりを可能にする」とした。 ?については、将来を担う子供たちには「まず大阪のまちを知ってもらいたい」とする。そのため、まちを 体験する様々な機会を提供して大阪の魅力を感じ、また問題点を考えてもらいたいと回答を寄せた。 5番目の質問は、かねてよりJIAが打ち出していた設計入札の撤廃に絡め、A「設計入札で選ぶ。設計料 の安さで競わせるのが最も簡単で公正な方法である」B「コンペ・プロポーザル等で優れたアイデア・デザ インを提案した人を選ぶ。設計入札はすべきでない」か、どちらでもない場合をとして、3択により回答を 求めた。 この回答として、平松氏は、Bを選択し、審査には市民や利用者に可能な限り参加してもらい、「意見を選 定に反映するとともに、公共施設への関心を高め、さらにアイデアやデザインに対する見識眼を養ってほし い」と付け加えている。 平松邦夫 (ひらまつ・くにお)尼崎市出身。同志社大学法学部卒。毎日放送にアナウンサーとして入社。北米支局 長、役員室秘書部長、役員室長などを歴任。大阪市北区在住。59歳。