京都市西部地域の生活交通が充実 京都市民の大きな夢を満載して、延伸区間が待望の?発車?―。京都市交通局が、京 都市西部地域における生活交通の充実や観光地へのアクセスのさらなる充実を目指し て建設を進めていた京都市営地下鉄東西線の延伸区間である二条駅から太秦天神川駅 間(2.4?)が16日に開通した。途中に西大路御池駅を設けている延伸区間の開通によ り、東西線の太秦天神川から六地蔵間は約35分、太秦天神川から烏丸御池間は約8分 で結ばれるなど、京都市の都心部と西部地域との移動時間が大きく短縮するととも に、3月末に開業予定の京福電鉄嵐山線の新駅「嵐電天神川」駅との結節による鉄道 ネットワークの拡大に伴って、観光名所の嵐山や嵯峨野へのアクセスが飛躍的に向上 する。一方、2002年11月から着手した延伸工事は、二条西工区、西大路駅工区、西大 路西工区、天神川駅工区の四工区に分割して推進。精鋭施工陣が環境に配慮しながら オープンカット工法、シールド工法によって安全第一に工事を進め、高品質に完成さ せた。
観光地のアクセスも更に向上 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 147万市民の日常生活を支える安全・安心・快適な公共交通機関として、通勤・通学はもとより、観光客の足 として大きな役割を果たしている京都市営地下鉄。1981年5月29日に烏丸線の北大路〜京都間(6.5?)が開 業したことにより、古都・京都における新しい交通体系確立への第一歩を踏み出した。また、1988年6月11 日に京都〜竹田間(3.4?)、1990年10月24日に北山〜北大路間(1・2?)、1997年6月3日に国際会館か ら北山間(2.6?)が開通し、国際会館〜竹田間を結ぶ烏丸線の営業延長は13.7?に達した。 一方、平安建都1200年記念事業として建設が進められた東西線は、1997年10月12日に醍醐〜二条間(12.71 ?)が開業。これにより、京都市を東西南北に横断する鉄道網が完成し、利用者の利便性が大きく向上し た。 人や物の円滑な流れを支える総合交通体系の確立を目指す京都市では、この後も高速性・定時性に優れ、環 境にもやさしい公共交通機関の整備・拡充をさらに図るため、その一翼を担う東西線の延伸について総合的 な観点から検討を推進。1994年11月26日には隣接する宇治市や京都府南部地域との広域的な鉄道網体系の形 成に寄与する六地蔵〜醍醐間(2.4?)が開通した。 これに引き続いて16日に開通した二条から太秦天神川 間(2.4?)は、京都市西部地域における生活交通の充実や観光地へのアクセスのさらなる向上を目指して建 設を進めたもので、2001年5月に国土交通省の事業許可を受けた。 営業中の二条駅から西へ進み、西大路御池を経由して天神川(御池通京福電鉄嵐山線交差付近)に至る二条 から太秦天神川間の途中には、西大路御池駅を設置。地下2階構造(地下1階コンコース、地下2階ホー ム)で、四カ所すべての出入口にエレベーターを設けるとともに、1カ所にエスカレーターを設置してい る。 終点の太秦天神川駅は地下3階構造(地下1階コンコース、地下2階機械室、地下3階ホーム)で、 西大路御池駅と同様に、4カ所の出入口すべてにエレベーター、1カ所にエスカレーターを設置して、人に やさしい環境を創出している。 今回の開通により、東西線の太秦天神川から六地蔵間は約35分、太秦天神川から烏丸御池間は約8分で結ば れるなど、京都市の都心部と西部地域との移動時間が大きく短縮。また、太秦天神川駅付近には、京福電鉄 嵐山線の新駅となる「嵐電天神川」駅が3月末に開業する予定で、京都を代表する観光名所の嵐山や嵯峨野 へのアクセスが飛躍的に向上する。 このほか、太秦天神川駅周辺では、太秦東部地区第一種市街地再開発事業が進められており、その核となる 再開発ビル「サンサ右京」が2月に竣工する予定。右京区総合庁舎、右京中央図書館(仮称)、右京地域体 育館の公共施設や店舗と分譲住宅「サンサコート太秦天神川」駅からなる複合ビルで、東西線の延伸に伴う ターミナル機能の充実によって、にぎわいのある空間の創出にも拍車がかかる。 精鋭施工陣が高度な技術力を駆使 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 当初予定より2カ月早く開通した京都市営地下鉄東西線延伸区間の工事は、1992年11月から二条西工区、西 大路駅工区、西大路西工区、天神川駅工区の四工区に分割して推進。精鋭施工陣が環境に配慮しながら高度 な技術力を駆使して安全第一に工事を進め、?点?を?線?へと結びつけた。 その起点部に位置する二条西工区の施工を担当したのは、大林・鹿島・鴻池・公成・ケイコン共同企業体。 工事延長は、京都市中京区西ノ京星池町地先から同東中合町地先までの約863mで、シールド工法とオープン カット工法で施工した。 同工区では、営業中の地下鉄東西線二条駅に隣接する位置に発進立坑を設け、泥土圧式シールド工法(外径 5,700?、延長838.1m)によって単線並列トンネル二本を新設した西大路御池駅へと向かって掘進。東行き 線、西行き線ともに掘削を淀みなく続け、2005年10月末に両線とも西大路御池駅へと到達した。 延伸区間のほぼ中央(京都市中京区西ノ京東中合町地先)に設置した西大路御池駅をオープンカット工法で 施工した西大路駅工区の工事延長は約187m(掘削幅約14から19m、掘削深約20から24m)で、施工は前田・ 三井住友・大本・仁木・吉川共同企業体が担当した。同工区では、特殊連続土留め杭工法による土留め、路 面覆工などを経て地上からの掘削、支保工仮設を施し、この後に床付けを行って躯体構造物を順次構築。導 水管や配水管などの地下埋設物が多くあったため、それらの移設や防護に細心の注意を払いながら低振動、 低騒音、排出ガス対策型重機などを使用して工事を進め、平成18年4月に躯体を完成させたのに引き続いて 道路復旧、出入口工事などを推進した。 大成・熊谷・ハザマ・吉村・古瀬共同企業体が施工を担当した西大路西工区の工事延長は、京都市中京区西 ノ京西中合町地先から右京区太秦安井松本町地内までの約1,162mで、京都市交通局としては初採用となった 外径9,300?の複線大断面シールド工法によって施工した。同工区では、右京区に新設した太秦天神川駅から 発進し、中京区に新設した西大路御池駅へと向かって掘進。上下線の相互乗り入れに伴う大空間の確保に加 え、土被りも比較的薄かったことから、高度な技術力が求められる難工事だったが、地表面や埋設物への影 響を抑制しながら情報化施工を展開した結果、2005年12月に西大路御池駅へと無事に到達し、この後の覆工 などについても工程どおりに進捗した。 環境保全などにも万全の対応 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 終点側の天神川駅工区の施工を担当したのは、清水・錢高・鉄建・岡野・長村共同企業体で、工事延長は186 m(掘削幅約12から16m、掘削深約24から28m)。京都市右京区太秦安井松本町地内から同下刑部町地内に おいて太秦天神川駅をオープンカット工法で構築した。 同工区においても、西大路駅工区と同様に、低振動、低騒音、排出ガス対策型重機などを使用して環境保全 に努めながら施工。2006年2月に躯体が完成したのに引き続いて同年5月には変電所も完成した。 生活交通の充実や観光地へのさらなるアクセスの向上をもたらす期待の延伸区間。その地下空間には、精鋭 施工陣の確かな技術力が息づいている。