建設事業は原則2割削減へ、安威川・槙尾川両ダムの本体着工見送り 大阪府はこのほど、財政再建プログラム試案をまとめた。財政非常事態宣言を受け、橋下徹知事直轄の改革 プロジェクトチームが、プログラム案を策定するためのたたき台としてまとめたもので、今後、議会や市町 村等と議論・調整を行い6月を目途にプログラム案を策定するとしている。試案では、歳出・歳入の総点 検、見直しを実施。建設事業では原則2割削減のほか、個別見直しを行い、安威川・槙尾川両ダムでは本体 着工を見送りとした。 試案では、2008年度から2010年度までの3年間を集中改革期間として改革目標などを定めたもの。改革で は、2008年度から「収入の範囲内で予算を組む」として財政健全化団体にならないーことを目標に、歳出・ 歳入の総点検、見直しは、「聖域なく」ゼロベースとして、▽事務事業▽歳入の確保▽出資法人▽公の施設 ▽主要プロジェクトーで実施。 改革目標額では、2008年度全体で1,100億円を削減。このうち建設事業は今年度70億円を削減。事業の見直 しでは、2008年度建設事業費の一般財源(通年)の480億円(国直轄事業負担金除く)を、今年度は70億円、 2009年度は90億円を、それぞれ削減見込額とした。主な検討事業は、都市整備部の安威川ダム、槇尾川ダム 事業と泉佐野丘陵地整備事業、住宅まちづくり部では、府営住宅(建替え、管理等)と密集市街地整備促進 補助金、箕面森町など。 安威川ダムと槇尾川ダムは、財政状況に鑑み事業スピードを見直して主要プロジェクトとして点検。安威川 ダムは21年度の本体着工を、槇尾川ダムは今年度の本体着工を見送ることとし、今後はそれぞれ、本体着 工を見送った状況で、付替道路工事等の国庫確保の可否を見守るとした。 旧泉佐野コスモポリス跡地を、府が取得して公園(緑地)を整備する泉佐野丘陵緑地整備事業では、財政状 況から事業を見直す。今年度は予定していた実施設計と整備工事を見送り、民間の強力も含めた整備手法を 検討する。 府営住宅事業では、経営効率化と持続可能性を点検。府内では公営住宅の占める割合が高いため、団地の統 廃合や住棟単位での経営廃止など縮小が必要とした。見直しでは指定管理者制度(公募型)の導入などで管 理費を10%削減。 建設系事業では、府営住宅整備基金を活用し、計画修繕は現状の実施規模を維持。建替えは全庁方針に沿っ て20%削減とするが、初年度効果僅少のため、今年度は府営住宅整備基金4億円を充当する。 昨年10月にまちびらきが行われた箕面森町では、余野川ダムにおける国の対応や分譲状況、民間事業者の動 向など、直近の情勢を踏まえ、事業全体を早急に点検、残事業の精査などを見直し。今年度の整備では、維 持管理や防災上、住民生活に不可欠なライフライン等に限定。このため、森林公園整備等の不急な工事を当 面見合わせることとし、第2・第3区域関連事業については、主要プロジェクトの総点検の結果を踏まえて 対応方針を決定する。 一方、出資法人に対しては、必要性と効果の検証、NPOなど民間との連携、府との関係について点検・見 直しを行い、今後の方向性を明示。都市整備部関係で存続となったのは、道路公社と土地開発公社、大阪高 速鉄道(株)、堺泉北埠頭(株)で、大阪府都市開発(株)、大阪外環状鉄道(株)、泉大津港湾都市 (株)は民営化を目指す。公園協会は自立化、財大阪府下水道技術センターは廃止。 住宅まちづくり部では、住宅供給公社と財大阪府都市整備推進センターが存続、財大阪府タウン管理財団は 都市整備推進センターと統合するほか、水道部の財大阪府水道サービス公社は廃止する。 このほか、主要プロジェクトの点検では、りんくうタウン・箕面森町(水と緑の健康都市)・泉佐野コスモ ポリスの三プロジェクトについて、当初の事業成立見込みが適切であったか、社会情勢の変化を踏まえた事 業見直しが速やかに行われたかなどを検証する。 さらに、3プロジェクトの検証結果を活かし、▽箕面森町▽彩都▽新名神高速道路(府関連事業)▽阪神高 速大和川線▽安威川ダム▽槙尾川ダム▽阪南2区▽大阪モノレール(南伸)▽大阪外環状線鉄道についても 総点検を行う。