

シールド施工は清水JVが担当 大阪府が国土交通省と共同で実施していた「大阪国際空港内雨水貯留施設」 が完成し、今月から供用を開始した。雨水流出による周辺地域の浸水被害軽 減のため、2004年度から建設を進めていたもの。貯留施設は地下トンネルと した延長約1.8?、貯留量約4万5,000立方mの規模で、工事はシールド工法 により行われ、清水・錢高・東洋・鉄建・佐伯JVが担当した。総事業費は 約74億円。 大阪国際空港と豊中市、池田市に係る周辺地域では、滑走路やエプロンの拡 張、周辺地域の宅地化などにより、雨水の流出量が増加、これまでに1994年 と1997年、1999年の集中豪雨では、空港ターミナルや駐車場が冠水、また周 辺宅地では床上・床下浸水などの被害が発生していた。 特に、1994年9月の豪雨時には、ターミナルビルの地下浸水により一時空港 機能が停止したほか、駐車場冠水で270台に、床上・床下浸水は630戸に上る など、多大な被害を及ぼした。
このため、大阪府では国交省との共同により「安全安心なまちづくり」を目指し、「浸水被害の軽減」を目 的に、同地域の雨水を猪名川へ排水する既存水路である場周水路の流下能力を超える雨水を一時的に貯留す る施設整備を計画し、事業を進めてきたもの。 整備にあたっては、猪名川流域下水道と空港施設との兼用工作物として共同で事業を行うこととし、貯留施 設の建設を大阪府が実施、維持管理については協定書の基づき豊中市が行い、費用は国交省と関係市の豊 中・池田・箕面の各市が負担する。 施設は、豊中市蛍池西町3丁目から池田市空港2丁目までの路線延長1,841mに、土被り13から18m、管渠径 5,750?を築造し、管理棟2棟、管理用人孔2カ所、流入渠(取水口)1カ所を設けた。貯留量の約4万 5,000立方mは、50mプールに換算すれば30杯分に相当する。 事業では、2001年度末に下水道法認可を取得、2002年度には基本設計と土質調査、測量業務を発注するとと もに、2003年5月には、建設・維持管理に関する基本協定書を関係市らと締結した。 建設工事は2004年度から着手された。地下トンネル構築には泥土圧式シールド工法を採用。シールド工事で は、各種の準備工事を経て2006年3月16日にシールド機を発進し、翌年3月22日に到達した。その後、2次 覆工などを実施し、このほど供用を開始したもの。なお、工事は、発進立坑を大容建設、流入渠を太陽、シ ールド工事と到達立坑、人孔築造工事は清水建設・錢高組・東洋建設・鉄建建設・佐伯建設工業JVが担当 した。