(株)テトラ(東証1部、東京都港区)と同社が発行済株式の53.3%を保有する不動建設(株)(東証・ 大証・名証1部、東京都中央区)は、4月26日開催の各取締役会において同社が10月1日をメドに合併す ることを決議し、合併契約書を締結した。 不動建設を存続会社とし、合併比率は不動建設:テトラ=1 : 2.40。合併新会社の商号は(株)不動テト ラとなる。 不動建設は経営環境の悪化から、2003年11月に「事業再編と新生3ヵ年計画」を発表。 それまで手掛けていた一般土木・地盤改良事業と建築事業を分離し、建築事業を(株)ナカノコーポレー ション(東証1部、東京都千代田区、現・ナカノフドー建設)へ営業譲渡。一般上木・地盤改良事業に特 化するとともに、取引金融機関9行から総額273億4200万円の債務免除、テトラやフェニックス・キャピ タル(株)(東京都千代田区)から出資や役員派遣を受け、新生不動建設が誕生した。 同計画は順調にスタートしたものの、その発表から2年後の昨年11月、不動建設の元社日が東京都発注の 工事入札に関する競売入札妨害の容疑で逮捕される。 これを受けて複数の地方自治体が不動建設に対し相次いで指名停止措置を講じた結果、2006年3月期の第 3四半期(2005年10月 12月の受注実績は約82億3300万円と、前年同期比で約31%ダウン。 今年2月27日には、2006年3月期通期決算の業績予想下方修正(年売上高600億円→530億円、経常利益26 億円→18億円)を発表していた。 この間、メーンバンクや親会社であるテトラの支援スタンスが注目されたほか、取引見直しを検討する民 間企業の動きも見えはじめるなど、不動建設に対する警戒心は水面下で日増しに高まっていた。 さらに、今般の合併発表2日前の4月24日こは、逮捕された元社員の有罪判決(懲役1年6ヵ月執行猶予3 年)を受けて,国上交通省より関東地方整備局管内1都8県の区域内における上木工事業に関する営業のう ち、公共工事および民間工事で補助金等の交付を受けているものについて、2006年5月9Hから6月7日 (30日間までの営業停止処分を受けた。 業界環境が厳しさを増すなか、元社員による競売入札妨害事件の発生で指名停比、営業停止処分を受け信 用を失った不動建設には、もはや自力再建の道は残されていなかった。 しかし、その技術力や「事業再編と新生3ヵ年計画」に沿って債権放棄した金融機関や出資先などの立場 を考慮すれば、簡単に処理するわけにはいかず、今回のスキームで合理化を進めることになったといえる。 求められる業績、信用の回復 10月から、「不動テトラ」としてスタートを切るわけだが、課題を抱えている点はテトラも同じ。 テトラの近年の年売上高推移は97年3月期:457億9400万円→2005年同期:182億7700万円と8年間で60% ダウンしている。 不動建設が下方修正を発表した2月27日に、当社も2006年3月期の業績予想の下方修正(年売上高195億円 →185億円、当期純利益2億円→0円)を発表。 さらに3月1日には希望退職者募集に関するリリースを出すなど、決して余裕のある状態で合併契約を交 わしたわけではない。 合併し、商号が変わっても、依然として業績と信用の回復という大きな課題が残る。どこまで思い切った 改革ができるのか、引き続き注目される。
【帝国データバンクより抜粋】