旧移住センターを改修・保存 神戸市が保存・整備に取り組んできた「海外移住と文化の交流センター」 (神戸市中央区山本通3−19−8)が6月3日にリニューアルオープンす る。我が国に現存する唯一の移住関連施設である旧神戸移住センターで改修 工事を実施していたもので、移住の歴史の発信拠点として、また、在住外国 人の支援・交流センターとして再出発する。
建物は、五階建ての延床面積3,726・77?のもの。施設には、移住ミュージアム機能と在住外国人支援機能、 国際芸術交流機能を整備。1から2階を海外移住ミュージアムスペースに、2から3階は在住外国人支援ス ペース、3から4階を国際芸術スペース、5階はコモンスペースとした。 海外移住ミュージアムでは、移住の歴史・意義を伝える資料として、移住船となった笠戸丸復元画、ゆかり の場所を示した床面地図などを展示、外観と船室を模した当時の居室の再現、壁の色と窓枠を再現するな ど、歴史的建物の保存も行った。在住外国人支援では、増加する南米系日系人を中心とした在住外国人に対 する母語や日本語教室の開催、自国文化の情報発信と交流の場として、移民祭やブラジル映画祭の開催のほ か、NPO活動へのスペース提供、地域国際化セミナー等の開催も予定している。 また、国際芸術交流では、子供向け絵画教室や公開アトリエ活動、海外アーティストとのコラボレーショ ン、アート創作創造講座など、地域と連携する芸術交流機能とともに、多文化共生と地域活性化を具現化す る。 旧移住センターは、ブラジルなどへ移住する人達が、乗船前に過ごす施設として、1928年)に国立神戸移民 収容所として建設され、約25万人が同センターから移住していった。閉館とともに1971年に神戸市が土地と 建物を買い取った。その後、市立高等看護学校や海洋気象台などが一時利用したほか、1999年からはNPO 法人「芸術と計画会議(C・A・P・)」が暫定利用していた。 改修工事は、平成14年から実施されていたもので、国と兵庫県が整備費を補助した。リニューアルオープン に際し、カワサキライフコーポレーション、日伯協会やNPO法人関西ブラジル人コミュニティCBK、計 画会議による海外移住と文化の交流センター共同事業体が指定管理者として運営にあたる。 なお、3日には開館記念式典が予定され、テープカットなどが行われる。一般への公開は同日午後一時か ら。