総合治水への理解を 大阪府、寝屋川流域の11市及び近畿地方整備局で構成する寝屋川流域協議会の主催に よる「施設見学会」が5月30日に開催された。治水対策事業に関する理解と協力を図 るために実施されている総合治水推進週間(5月15日から21日)に併せて開催された もので、今回は萱島調節池と大東門真増補幹線(第2工区)下水管渠築造工事現場を 見学、地元住民ら約100人が参加した。同協議会での広報活動としては、昨年まで寝屋 川流域水フォーラムやビジュアルボードフェアとして展示物を中心として実施してい たが、今回、実際に施設等を見てもらうことにより治水対策への理解を深めるととも に、河川の美化・浄化への協力を求めることを目的に、初めて開催されたもの。
見学会では、初めに供用中の萱島調節池を見学。同調節池は、寝屋川以東から国道163号線以北の約384haの 区域の浸水被害軽減を図るために2003年に整備されたもの。見学に先立ち、管理者である大阪府寝屋川水系 改修工営所の担当者から、寝屋川流域における総合治水対策の意義と目的、調節池の概要説明を受けた後、 調整池内を見学。 同調節池は、地下貯留方式で南北方向に約67m、東西方向約44m、深さ約12mの規模で、面積2,948?、貯留 量2万6,000立方m。現在は、寝屋川市の公共下水道から取水し、寝屋川に排水しているもので、参加者は地 下に構築された調節池を見て回った。 この後、下水管渠築造工事現場へ移動、ここでは大阪府東部流域下水道事務所の担当者及び大東門真増補幹 線(第2工区)下水管渠築造工事の施工を担当している三井住友建設・地崎工業・木原建設共同企業体のス タッフらの出迎えを受け、概要説明と現場見学、工事ビデオの上映が行われた。 同現場は、既存の下水管の雨水排除能力を補うことを目的とした増補幹線で、寝屋川市讃良西町の太平ポン プ場内の太平立坑から、寝屋川下を横過し、府道八尾枚方線の直下を、門真市大字岸和田までの延長2,411・ 5mの下水管を整備するもので、2006年10月から実施されている。 下水管渠築造工事は、シールド工法により実施。シールドトンネルは、掘削外径6,250?、仕上内径5,500? で、シールド機は、中折れ式の泥水式シールド機が採用された。現場見学では、府の職員と企業体スタッフ の案内により直径23m、深さ30mの立坑内からシールドトンネル内を見学。参加者らは普段見ることのでき ない現場を、写真やビデオでの記念撮影を楽しんでいた。 工事はシールド機の発進基地となる太平立坑の完成を受け、2008年2月から掘進を開始し、今年2月に別の 増補幹線との接合部に到達した。シールド掘進では「月間で約300m」(長井信行・作業所長)を記録するな ど、順調に工程を消化、現在、凍結工法により別の管渠との接合に着手している。なお、これまで約12万時 間に及ぶ無事故・無災害記録を継続中。 寝屋川流域協議会は、大阪府、流域関係市及び近畿地方整備局により1989年に設立。現在では河川、下水 道、流域住民が一体となった「寝屋川流域水害対策計画」に基づき、河川改修や地下河川、治水緑地、調節 池整備のほか、下水道増補幹線や雨水貯留施設の整備、開発に伴う流出抑制などが行われている。