大阪府では、2010年度国の施策並びに予算に関する最重点提案・要望をまとめた。「地域主権の実現」を主 要最重点要望とし、都市間格差の現状を踏まえた都市基盤整備など4つの最重点要望を上げている。地域主 権の実現は、内閣府と財務、総務、国土交通の各省に対するもので、自治財政権の確立と自治行政権・自治 立法権の確立を要望。明治以来の中央集権型行政システムはもはや機能不全に陥っているとし、その象徴で ある国直轄事業負担金問題を突破口として地方分権改革の歩みを進めていくとしている。 特に自治財政権の確立では、国直轄事業負担金制度の運用改善にとどまらず、制度そのものを廃止すること を求め、特に維持管理負担金制度については来年度からの廃止を要望。道路特定財源の一般財源化にあたっ ては、厳しい地方財政や地方の道路整備を巡る状況を踏まえ、地方財源の拡充を訴える。 最重点要望としては、?国の責任において確保すべきセーフティネットの整備?都市間格差の現状を踏まえ た都市基盤整備の推進?誰もが安心して暮らせる大阪、活力ある大阪の実現?迅速かつ効果的な新型インフ ルエンザ対策の推進ーの4項目。このうち、都市間格差の現状を踏まえた都市基盤整備の推進は、財務省と 国土交通省に対するもの。この中では、首都圏優先の基盤整備により大阪・関西との格差を助長することの ないよう着実な推進を求める。特に活性化に不可欠な大阪湾ベイエリアの再生に向け、関西圏のパネルベイ と新エネルギー産業拠点の各構想が進んでいるいることから、アジアの一大物流拠点として展開するために 必要な関西国際空港と幹線道路ネットワーク整備を行うこととしている。 関空については、安定的な経営基盤の確立を図るため、政府補給金の継続的措置と抜本的な財務構造の改善 策を講じるとともに、国家戦略的観点から二期事業の着実な推進と、国内外の各都市との航空ネットワーク の充実を図ることとする。特に今年3月に府がまとめた「関西三空港の提言(案)」を基本に、国交相が示 した関空活性化に向けた方向性のプランが実現するよう要望。 とりわけ、高コスト構造の要因となっている1兆円の有利子負債の大幅削減などを国の責任において改善策 を講じ、阪神港とも連携した低コスト国際物流基地の整備など、利用コスト軽減の実現を提案。また、関空 と梅田・新大阪駅のアクセス時間の大幅短縮が可能となる「なにわ筋線」等、大阪ビジネス拠点からのアク セス改善の早期実現も求める。 幹線道路ネットワークの整備では、わが国の大動脈として関西・中部・首都圏の連携強化を担う新名神高速 道路の全線早期完成、淀川左岸線延伸部の事業化による大阪都市再生環状道路のミッシングリンクの解消を 図るため、新名神の全線早期完成や淀川左岸線延伸部の地方負担分の軽減を、引き続き求めていく。